僕にとってはじゃがたらだったりマイブラだったりスローイングミュージズだったりする訳だが、開幕と同時に鳴り響く20世紀フォクスのファンファーレを聴いた途端、間違いなくクイーンもその一つだったと確信した。「これだよ！この音だよ！ブライアンメイのレッドスペシャルの音だよ！ノーシンセでコツコツオーバーダビングするんだよ！（実際にどうやって録ったのか知らないが、ブライアンとロジャーがこの映画のために作成したらしい）」 人生で最初に行ったコンサートとがクイーンだった事は他人にはどうでもいい僕のささやかな自慢だったし、人前で初めて弾いた曲がラブオブマイライフだったのはさらに他人にはどうでも良い事だ。

演奏シーンも素晴らしかった。役者がやってるとは思えないほどクオリティが高く、再現性も異常に高い。っつーか、ブライアンなんか本人ソックリだし、フレディ独特の挙動もコミカルに陥る事なく自分のものにしている。

でもねぇ、なんだかねぇ、満足出来なかったのだ。なんか淡々と事実確認していった感じで、よくあるバンド譚にしか見えなかった。基本的に盛り上がりに欠けるのだ。バンド解散の件も実際にあった訳ではなくフィクションらしいのだが、バンドやってればゴマンとある話で危機感にかける。ましてや、フレディが死んじゃう事もフレディ死後もクイーンが活動を続ける事もみんな知ってんだもん。フィクションが事実を超えられないんだったらBBCとかが作ってる再現ビデオと本人映像で良いじゃんと思ってしまう。というか、ダイヤ柄のタイツ姿のフレディとか、いかにも弾きにくそうなケープみたいなステージ衣装のブライアンとか、生っ白いのにすぐ裸になるロジャーとか、ニットのベストを愛着する前のロン毛だった頃のジョンとかをもっと見たいです。いやジョンは別にいいか。

最後に、当時のイギリスでゲイってのは日本人が考える以上に大変だとは思うのだが、 本当に隠したかったら「QUEEN」なんて名乗らないだろうと思うのだがどうだろう？