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[コメント] フラメンコ(1995/スペイン)

国宝級の重鎮によるフラメンコ絨毯爆撃。パケーラ・デ・ヘレスのど迫力のブレリアから始まり、息もつかせぬ100分20曲。玉手箱というよりは絵巻物。
さず

統計とかを取ったわけではなく、僕個人の勝手な思い込みなのですが、生活習慣の違いなのか、人種の違いなのかフラメンコ関係の方って 60を過ぎたころから急速に老いて急にお亡くなりになる印象があります。 本作に出演された巨匠の方々も多くが鬼籍に入られています。 今となっては貴重な映像です。

ストーリーもセリフもほぼないに等しい本作をCinemaScapeで論じて良いのか一抹の不安は残りますが、 フラメンコの魅力は十分(というかお腹一杯)伝わります。 フラメンコに対して映画やドラマでよくスポット的に取り上げられる赤いドレスで情熱のまま踊り狂う イメージをお持ちの方は一度ご覧になったほうが良いかもしれません。

舞台はがらんどうのセビリアの旧駅舎に白いパネルで設営されたシンプルなステージ。 100分弱の上映時間の間、ほぼ休みなくフラメンコショーが繰り広げられます。 曲種はほぼ被りなし。ほとんどの曲がインテンポなので聞きやすいです。 曲の半分は踊りのないカンテもの。 単色の照明と計算されたカメラワークは静謐な印象を与え、玉手箱というより絵巻物を感じさせます。

というかカメラはやりすぎ感が否めません。マリア・パヘスなんかは スクリーンの向こうで影絵状態(彼女の長い手が強調されて、それはそれで良いんですが、、)。 群舞の中を自在に動くグァヒーラも踊り手に寄りすぎで、振りつけもよくわからず、ただ多幸感 に溢れて、、やっぱカメラも良いですね。

ストーリーはほぼありませんが、もし、何か意図があるとすれば、第1幕で取り上げられたブレリアがベテランによる伝統的なものだったの対し、 終盤で再度取り上げられたブレリアが若手中心で踊りもモデルノだった点でしょうか。そして人々がなだれ込むルンバの大団円の あと、12拍子のコンパスのレッスン風景で幕を閉じる。フラメンコがこれからも継承され発展することへの祈りだったのかもしれません。いや勝手な思い込みですが。

(評価:★3)

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