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[コメント] メリンダとメリンダ(2004/米)

老成というかなんというか、最近のウディ・アレンはえらい“余裕”だな。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







正直、作家達の酒飲み話はいらない。 最初に「この映画の構成」を説明し、最後に「監督の言いたいこと」を語っているようにしか見えない。 確かにこれが無ければ一般的には何だか分からない映画になっていたかもしれないが、観客の大半は「ウディ・アレン上級者」だ。 むしろ、何だか分からない方が俄然面白かったような気がするぞ。『欲望のあいまいな対象』みたいな方が面白かったぞ! まあ、そういう無謀な試みをしないことが、ウディが長く創作できる理由(しかも多作)なのかもしれない。なんだと!ブニュエルが無謀だって!

漫画家いしかわじゅんがこんな事を言っていたことがある。 「ギャグばかり描いていると、シリアスを描きたい衝動に駆られる。」 この「正反対への針の振れ方」はウディ・アレンにも見られる傾向だと私は思っている。 本作を観て「似ているなあ」と思ったのは、『セプテンバー』や『私の中のもうひとりの私』といった、彼の「針が振り切っちゃった」典型作だった。(当時のプライベートの好不調に左右されたところもあるみたいだが。) この「両極端」を両方やっちゃったのが本作なのではなかろうか。 そう思ってしまったから、作家達の酒飲み話が「自身の作品(の傾向)の解説(言い訳)」をしているように見えてしまったのかもしれない。

ただ、かなり凝った話の割にそう見えない。 「どうでっか?凝ってますやろ?」的なえげつなさがない。 むしろサラリと余裕をかましている感じ。 これが老成というものか。

長いレビューになってしまったが、一つ気付いた傾向がある。 ウディ・アレンの「シリアス」は、いつも“女主人公”じゃないか? これもまた、彼の人生観なのだろう。『地球は女で回ってる』のかもしれない。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ころ阿弥[*] けにろん[*]

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