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[コメント] かもめ食堂(2005/日)

そうそう、サーモンとか森って言えばノルウェーだよね。あ?フィンランド?
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







まず褒めよう。

カウリスマキ好きの荻上直子は、そのカウリスマキ好きっ!が高じてフィンランドに赴き、マルック・ペルトラにまで出演していただいたという力の入れよう。力の入れようなんだが、それを表面に出さずに肩の力を適度に抜いた仕上がり。 この映画、全然ドラマチックじゃない所がいい。 ただ「料理を作るのが楽しい」という姿がいい。 (「料理が美味しそう」ではない)

だが私には、正直納まりが悪かった。

バックボーンはどうでもいいのだが、あまりにも小林聡美が人生を達観しすぎてないか。 年齢的に、という問題も無いではないが、苦悩も葛藤も成長も無い人間が主人公であることがどうも落ち着かない。 (冒頭のナレーションやプライベート描写(水泳や合気道の訓練をしたり)がある限り、決して片桐はいり視点の映画ではない)

むしろ旅人視点で、異国の地で日本人が経営する食堂に迷い込んだという話なら分かる。 その場合、私なら、旅人が小林聡美で、何考えているか分からない食堂の主人をもたいまさこにするがね。 本当か嘘か分からないことばっかり言ってる飄々とした彼女に「やりたくない事をやらないだけ」と言わせるがね。大男を投げ飛ばして「合気道やってたから」と本当か嘘か分からないように言わせるがね。

これは何の物語なのだろう?癒しの物語?だが主人公が癒される物語ではない。既に彼女は人生を達観している。 主人公が得たのは多数の客しかない。 うがった見方だが、この映画の視点の置き方では「経済的成功の物語」にしか読み取れない。 (だいたい、千客万来は不要じゃないか?少しの常連客がついてちょっとだけ上向いたけど淡々とした日々が続くという話の方がこの映画には合っていると思うのだが)

荻上作品を観たのは『バーバー吉野』以来だが、いずれもその視点の置き方に疑問を感じる。

余談

井上陽水がライブで「自分でも忘れていて、どうしてこんな曲を作ったかも覚えていない曲「白いカーネーション」が、友人の映画で使われて恥ずかしかった。」と言っていた。 何の映画かと思っていたらこの映画。メロディーだけだけど。エンディングの曲じゃないよ。あれは「クレイジーラブ」。「アフリカの夜」というテレビドラマでも使用された1980年のアルバム収録曲。古いな。おかげでライブで「白いカーネーション」を聞けたのですが、1972年のアルバム収録曲ですよ。古いな。どうしてこんなもん引っ張り出してくるんだか。陽水マニアとしては1年来の疑問が解けてよかったですよ。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (7 人)freetree りかちゅ[*] 緑雨[*] Keita[*] おーい粗茶[*] TOMIMORI[*] のこのこ[*]

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