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[コメント] 恋愛睡眠のすすめ(2006/仏=伊)

手作り感のカオス。ミシェル・ゴンドリーの本質。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







劇中、たしかこんな台詞があったと思う。

「少し出来損ないくらいが好き。」 「でたらめって難しいのよ。すぐ秩序立ってしまう。」

たぶん本作がミシェル・ゴンドリー最初の単独脚本作で、おそらくこれらの台詞に彼の本質があるのだろうと思う。 『TOKYO!』の短編の一つや『僕らのミライへ逆回転』を先に観てしまっているものだから、「段ボールとか好きねえ」とか思いつつ、その手作り感と混沌を「なるほど、これがゴンドリーのゴンドリーらしさなのだな」と思って観ていた。

面白い設定。独創的な発想(ピアノ鳴らして綿の雲を浮かせるなんてサイコーだ)。 作り物の面白さが判っていて、作り物の面白さが好きな人なんだろう。 この人の持つ“不自然さ”はとても面白い。

だがその反面、人の気持ちの流れまで“不自然”になっているのも“らしさ”かもしれない。 私は『僕らのミライへ逆回転』で「アイディアに溺れてしまったようにも思える」という感想を持ったが、おそらく登場人物に素直に感情移入できないから(説明努力が足らないから)“ノレない人にはノレない”賛否両論映画になるのだと思う。

だがそれも、フランス映画ならある意味納得なのだ。 だいたいフランス映画で、感情なんか丁寧に描いた映画なんかないもんね。 ノレるかノレないかは観る人次第。 私はたまたま「好きなんだけどどうしていいか分からない男の子」の気持ちが分かってしまったオッサン(元男の子)だったのでノリノリでしたけど、まあフランス映画はノレるも八卦ノレないも八卦だからね。

ゴンドリーはアメリカ進出しないで、フランスで撮る方が向いてると思うんだが。

(09.07.05 CS録画で鑑賞)

(評価:★4)

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