コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ブタがいた教室(2008/日)

二度と小学生には戻りたくない、と思った。戻れるもんじゃないけど。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







子供には酷な話ですよ。 ツマブキ君(<いい演技していたと思う)はにこやかな顔した悪魔ですよ。 子供たちがこんなに悩み苦しんでるのに、当のブタは呑気にブヒーとか言ってるんですよ。 つーかこのクラス、戦争になっても不思議じゃないよね。

大人でも難しい論題だとも言えるけど、まあ、大人は個々人が確立した思想を持ってるからね。もっとも、結論を一つにまとめようとすると無理があるだろうけど。 例えば、ウチのヨメの友人二人の話をすると、一人は野良猫を見ると「可哀相」に思って施したくなるそうなんです。一人はホームレスを見ると「可哀相」に思って施したくなるんだとか。そしてヨメ(と私)はそんな二人を偽善者だと思っている。募金はするけど施したくもないし、自分も施しを受けたくもない。 大人だって、こんな感じですよ。 要するに何が言いたいかというと、「命」の問題より「可哀相」って概念を巡る問題のような気がしたんですわ。

映画として良くできてると思うのは、前半、子供たちの笑顔だけを切り取っていくんですね。 テンポ良く本題に入り(設定説明を済ませ)、子供たちとブタの絆を「笑顔の積み重ね」で観客に印象付ける。これが弱いと後の討論に説得力がなくなってしまう。

さらに言うと、教室外の出来事=父母や家庭での会話も当然発生するわけで、そうした描写も過不足なく(比重が大きすぎず少なすぎず)バランスがとれている。 ブタの引き起こす騒動も、過剰なオモシロエピソードなどではなく、適当な範囲。 本来なら、クラス内に冷めた子(ブタを飼うことに否定的な子)がいてもいいと思うんだが、そうするとラストへ向けて解決すべき別の課題が発生してしまう。

要するに、全てが「教室での討論」に向けて、バランスよく配置されていると思うのです。 (転校生のエピソードはあまり活かせていたとは思えないけど)

ただまあ、内容に関しては、何かで読んだ「これは教師のリードミスではないか?」という論調も一理あると思うし、 「映画は女優で観る」「ガキ映画大嫌い」の秋本鉄次だったかな、彼の「悩め悩め。ガキども甘やかすな」「あるべき教育の姿。そもそも、カエルの解剖もなし、騎馬戦もなし、なんて過保護な今の学校が間違ってる」という論調も一理あると思う。

いずれにせよ、俺自身はこうした「正解のない討論」に参加したくないなあ。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)りかちゅ[*] 映画っていいね[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。