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[コメント] ベンジャミン・バトン 数奇な人生(2008/米)

ひゃー!『リバー・ランズ・スルー・イット』が17年前かい。歳とるわけだねえ。やれやれ。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







感動巨編の体裁で売ってますし、実際感動巨編な作り方をしている気もするのですが、本当は「短編奇談」なんじゃないのかなあ?もっと小品でいいと思う。

実際この映画、村上春樹が多大な影響を受けているフィッツジェラルドの短編小説が原作だそうで、春樹的には「東京奇譚集」なわけですよ。 「なんだかこういう話を聞いたんだよね、本当か嘘か分からないけど。やれやれ。」的な話なわけですよ。たぶん。 「これが人生だ!」じゃなくて「まあ、これも一つの人生みたいなもんかもしれないね」的な話なわけですよ。たぶん。

確かにフィンチャーの語り口は奇談向きだと思います。 描写が嘘っぽくないからね。 「本当か嘘か分からないけど」って奇談は、嘘に見えたら終わりですから。

ほんと、フィンチャーは巧いと思うんですよ。 浸水が大きな古時計を覆う「時の無情」を感じさせる描写。 丁度二人の人生グラフが交差する瞬間の「人生は偶然の積み重ね」という事故のエピソード。ま、フィンチャーがやりたかっただけかもしれませんがね。

中でも一番力を入れたであろう「年齢差」の描写。 ベッドシーンは必要以上に描かず、下着をつける後ろ姿を描写する。 男も女も年齢は肌に出るんだよね。それも自分では見えない背中に。 やだやだ。歳はとりたくないねえ。

でもハチドリのエピソードはいらねえな。羽が8の字描いてる?超高速カメラが開発されてから分かったことじゃないのか?

分かった。この映画、決定的に脚本がダメなんだ。 「人生はチョコレートの箱」とかいう名言臭いことじゃなくて、「まあ、これも一つの人生みたいなもんかもしれないね。うん、悪くない。」的な話なんだから。たぶん。

余談

若い方はご存知ないかもしれませんが、『リバー・ランズ・スルー・イット』でブラピがメジャーになった時、いやもうリアルタイムで映画館で観たわけですが、「すんげーカッコイイ奴が出てきた!」「ロバート・レッドフォードの再来!」と映画界ではすごい評判だったんですよ。おすぎとか大騒ぎで(笑)。 その後、ブラピ自身がアイドルを嫌ったのか、変な役ばっかり選んでさ。 そんな若かりし頃と同じ姿をちょっとだけ見せることで、人生の華が短いことを描写してるんだろうけど、「ブラピも俺も歳とったなあ。でも俺はオッサンなのにブラピは今でもカッコイイじゃん」とか悲しくなっちゃった。 そしたら気付いたわけよ。「若返る」ことと「イケメン」はイコールじゃねーよな。「若返ってもブサメンだったらどーすんだよ」とミモフタモナイことをちょっと思いました。以上。

(評価:★3)

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