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[コメント] バーン・アフター・リーディング(2008/米=英=仏)

オーシャンズ』より分かり易いのに、『オーシャンズ』よりどこが面白いのか分かりにくい。知ってる知ってる。こういうイヤラシイことする監督、他にも知ってる。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







くず配給会社=日活の宣伝ほどお馬鹿映画には一見みえないのだが、劇中「(この一件で)学ぶべきことはあるか?」という台詞通り、実際中身は全然ない。 それがコーエン兄弟の意図であることは明らかなのだが、前作『ノーカントリー』がアカデミーでもてはやされた直後にこういうお馬鹿なことをする「どうよこういうの」的なイヤラシさ。 知ってるぞ。同じことやった監督。『それから』で黒澤明を押さえてキネ旬1位とった直後に『そろばんずく』撮った奴。森田芳光っていうんだ。 そして悪いことに、こいつらが大好きな俺も同じ穴のムジナだってことだ。

中身は全然ないと言ったものの、強いて学ぶべき点を挙げるとすれば、男と女の立ち位置。 この映画の男どもは皆「中毒」にかかっている。iPod中毒、アル中、SEX中毒。中毒というのは、ある意味“現状”の深みにはまっているとも言える。ジムのボスだって、現状維持に努めようと行動するんだ。 一方、女性陣は皆“現状”から脱却しようと努めている。それも秘密裏に。 ジョージ・クルーニーの絵本作家の奥さんだって同じだ。 CIAより女どもの方が隠密行動が上手だ(笑)。

そして、「どこが面白いのか分かりにくい」と書いたものの、観ている時より、観終わって一杯飲みながら思い返した方が面白い。 ていうか、思い出し笑いの方がゲラゲラ笑える。

例えばさあ、ジョージ・クルーニーが奥さんのためなのか何なのか、あの大人のオモチャを作る意味も分からなければ、壊す意味も分からない。それをマクドーマンに「安く作ったんだぜ」って自慢する意味も分からなければ、「まあ、すごい」みたいなことを言うマクドーマンも意味が分からない。可笑しすぎ。 ジョージ・クルーニーで言えば、ティルダ・スウィントンの所に転がり込む時、出て行く時、何だか分からない大きな荷物持ってるでしょ。あれなに?マットレス?何でそれだけ大事そうに持って帰るわけ?そういう意味の分からなさも可笑しい。

そうそう、それとね、ジョージ・クルーニーが「お前なに者だー」ってマクドーマンから去るとこあるでしょ。あれ、マクドーマンにしてみたら質問に答えただけなんだけど、視点を変えると、刑事ドラマでよくある「真犯人しか知り得ない情報を耳打ちして落とす」シーンにも見えるんだ。 面白いんだけどなあ。

(評価:★4)

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