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[コメント] NINE(2009/米)

8 1/2』の0.5増なのに『8人の女たち』ほどウヒャウヒャ感がない。『黒い十人の女』の1/10ほどしか翻弄感もない。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







8 1/2』をベースに作った映画かと思ったら直接的には違うそうで。『8 1/2』をベースにしたブロードウェイ・ミュージカルの映画化だとか。

そんなわけで別物と思いたかったのですが、いくら『8 1/2』じゃなくて「9」だ!『』じゃなくて「裏道」だ!と言われたところで、あれだけグイドグイドグイドグイド言われたら、黒眼鏡に帽子で風呂に入ってるマルチェロ・マストロヤンニしか浮かばないわけじゃないですか。

たぶん、アメリカ人は『8 1/2』を知らないという前提でリメイクされてるんだよね。 レンタルビデオ屋で『8 1/2』を注文したら『ナイン・ハーフ』が出てくるというギャグを二度も見たことがあるよ。たしかウディ・アレンとケヴィン・スミスじゃなかったかな。 それくらいアメリカ人は知らないから、高を括ってイタリアで同じ時代の設定にして、中身だけアメリカ人に理解出来るようにすり替えてるんでしょ。別に現代アメリカだって通用する話じゃない。何も映画監督じゃなくて、作家だって画家だっていいわけでしょ。むしろ画家とモデルの方が話が組み立て易いと思うけどね。 よくもまあ恥ずかしげもなく上っ面だけリメイクしたこと。 『THE LAST PRINCESS』より恥ずかしい。

そもそも、奇跡のヘタウマ監督=フェリーニの作品は一人歩き出来ないんですよ。

これは、黒澤映画のリメイクがオリジナルを超えられない、というのとは訳が違うんです。 ストーリーが面白ければソコソコの映画になって「でもオリジナルには負けるよね」ってこともあるけど、フェリーニはお話が面白いわけじゃないからね。 「なんだかワカンナイけど凄い」という、言わば映画の神様が降臨したキ●ガイ映画だから。そんなもん負け戦以前の問題ですよ。「フェリーニが面白くした映画」じゃなくて「フェリーニだから面白い映画」なんだから。作品だけ一人歩き出来るわけがない。

あとねえ、役者はそれぞれいいんだけど、正しい使われ方をしてるとも思えない。 ダニエル・デイ・ルイスは似合ってたけど、もっと活かせるよね。もっと女達に振り回されてほしいよね。 『シカゴ』のリチャード・ギアもそうだけど、この監督、男の扱い下手だと思うんだ。 あと、オッパイぽろりペネロペちゃんがオッパイぽろりしてないよね。てゆーか、このペネロペちゃんは少し前『コレリ大尉のマンドリン』頃のイメージじゃない?モンロー的な馬鹿だけど可愛い女のイメージはとうの昔に超えて、最近じゃ京マチ子的最強女優になってるのにさ。むしろ男を振り回す側の女優だよ。

あと、ミュージカル自体が平凡。 それでも『シカゴ』は魅せるミュージカルシーンがあったけど、あれは監督じゃなくてボブ・フォッシーの影響だったんだな。だいたいさあ、ミュージカルでもない『8 1/2』があれほど高揚感があるのに、ミュージカル化したら高揚感ゼロってどういうこと?

あー、オリジナルとの比較で文句言うつもりじゃなかったのにぃ。

(10.03.27 ユナイテッドシネマとしまえんにて鑑賞)

(評価:★2)

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