コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ウディ・アレンの夢と犯罪(2007/米=英=仏)

だってお前、こないだマイアミ・バイスだったじゃん!
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







日本では翌年制作の『それでも恋するバルセロナ』の次に公開になったロンドン三部作の最終章。 ナレーションで押し切ったり(『それでも恋するバルセロナ』)、これはこういうお話ですよと最初に宣言したり(『メリンダとメリンダ』)、いろんな手練手管で攻めてくるウディ・アレン。 今回はナレーションを一切排した徹底した会話劇。事件や事故も写さない。ギャンブルで勝った描写すらない。

ところがウディ・アレンは、主人公達の会話以外の部分で、「人生は皮肉」「ギリシャ悲劇」というヒントをしのばせるんですな。「子供達の夢を見た」とまで親に言わせるのです。

こうして観客は神の視点に立たされ、悲劇の傍観者となるわけです。 主人公達に共感してハラハラドキドキするよりも、悲劇を予見しながら行く末を見守る映画なのです。 もうね、ぶっちゃけ、話の面白さよりも語り口の面白さなんですよ、この映画。

どうして『夢と犯罪』などという邦題を付けたのか知りませんが、原題から「カサンドラ・ドリーム」とでもすればよかったのに。 カサンドラはギリシャ神話に登場する悲劇の預言者。『カサンドラ・クロス』のカサンドラですよ。 この原題にも悲劇のヒントが隠されてるんですな。

(10.04.03 恵比寿ガーデンシネマにて鑑賞)

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (7 人)まー[*] 煽尼采 赤い戦車[*] tredair[*] ナッシュ13[*] chokobo[*] けにろん[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。