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[コメント] 冷たい熱帯魚(2010/日)

世間が求める「真実の物語」の真逆にある人間の内蔵をゴロッと出すような映画。ぜひ多くの方にご覧いただいて、嫌な気分になってもらいたい(笑)
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「真実の物語」とか「事実に基づいた物語」と宣伝される映画は、お涙頂戴を目的とした人生の上澄みをすくったような綺麗事がほとんどだが、この映画は違う。 上澄みどころか泥底をすくったような話。 人間の内蔵をえぐり出してゴロッと提示したような映画。 登場人物のタガが外れた映画だが、観ているこちらもタガが外れてしまえばこれほど気持ちのいい映画もない(146分の長尺を一切飽きさせない話術も秀逸)。 人間の本質を暴き出せ!ドルバッキー!にゃあ!

平成の『復讐するは我にあり』とも受け取れるが (実際の連続殺人事件をベースにしている点はもちろん、殺人者がカリスマ的な人間的魅力を有している点も似ている)、 監督の描こうとしている視点には大きな違いがあるように思う。

イマヘイは殺人犯そのものに焦点を当てているが、園子温は“巻き込まれた男”に焦点を当てている。ある意味ヒッチコック。そうかあ?

前作『愛のむきだし』同様、洗脳や恐怖によって「思考を奪われた人間」をモチーフにしているのではないだろうか。 もしかすると、本当に恐ろしいのは、残忍な犯行よりも「思考を支配される」ことなのかもしれない。

余談

「自分の信じた道を突き進め!」という助言が世の中にあるが、でんでんが怪演する人物は正にそうだよな。 『ソーシャル・ネットワーク』の主人公とこの映画のでんでんは同じに見えるんだ、俺には。

(11.01.30 テアトル新宿にて鑑賞)

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)おーい粗茶[*] chokobo[*] パグのしっぽ[*]

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