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[コメント] ゴーストライター(2011/仏=独=英)

ポランスキーの『知りすぎた男』。知りすぎた、名も無き男。作り手に余裕のあるこの手のサスペンスは、ヒッチ好きにはたまらんね。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ポランスキー自身が逃亡囚のためアメリカに入国できないということが、ピアース・ブロスナン演じる元首相が亡命同然でアメリカにいる状況と似ているが、それを切実に訴える気はなさそうだ。アイディアの一つくらいのことだろう。

ピアース・ブロスナン演じる元首相が丸々ブレア元首相のイメージなんだが、特に政治的なメッセージを強調する気もなさそうだ。これもアイディアの一つくらいだろう。

いずれにせよ、この映画に『戦場のピアニスト』ほど切実な自己投影やメッセージ性は見られない。 ただ、これはいつものことだが、ポランスキーが(おそらく)無自覚に選択する好みに、彼の心象風景が投影される。 ポランスキーは常に「彷徨う異邦人」を描く。 この映画で顕著だが、ポランスキーの描く“空”は暗い。 そしてこの映画では、主人公に名前がない。

しかし、そうしたポランスキー的な“何か”を抜きにして、私はヒッチコックに似た面白さで楽しんだ。 何か余裕シャクシャクで、ウディ・アレンがイギリスで撮ったサスペンスのように、あるいはトリュフォーがヒッチコックの真似事をしたように、観客を驚かすことだけに腐心するような子供騙しではなく、映画本来の(古来の)面白さを追求しようとしているように思える。

だって、メモ回すだけで緊迫感あるんだぜ。

(11.09.04 渋谷ヒューマントラストシネマにて鑑賞)

(評価:★4)

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