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[コメント] ロボジー(2012/日)

「嘘から出た真」を描く作家=矢口史靖。そもそも五十嵐信次郎って何の冗談だよ。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







何を思って本名でもない五十嵐信次郎なんて名前を語ってるのか知らないけど、ミッキー・カーチスね、ミッキー・カーチス。

あのねえ、みんなただの味のある爺さんだと思ってるかもしれないけど、ミッキー・カーチスって今日本で一番大物の73歳なんだぜ。「ロカビリー3人男」なんて古いことを言う気はないけど、矢沢永吉のキャロルをプロデビューさせたプロデューサーはこのミッキー・カーチスだからね。それも内田裕也がスカウトしたら数分前にミッキー・カーチスに誘われてたってんで「ミッキー先輩ならしゃーない。ロケンロールよろしく」ってあの内田裕也に言わせた人だから。いわば日本のロックの開拓者。あと、ミッキー・カーチスがプロデュースした傑作と言えば「左とん平のヘイ・ユウ・ブルース」ね。これ傑作。 あとミッキー・カーチスの偉大さとして何を伝えようかな。 えーっと、超大手芸能プロダクション・ナベプロの最古参。70歳で33歳年下と結婚(再々婚)した歳の差婚の先達(最初の嫁さん芳村真理だってよ、それは知らなんだ)。

今更言うまでもなくミッキー・カーチスは古くから俳優もやってて、岡本喜八映画なんかほとんど出てるしね。昔からいい味あったけど、一段と飄々としてきたな。2012年の主演男優賞だね。ま、俺の思うベスト・アクトは『KAMIKAZE TAXI』だけど。 そんなミッキー・カーチスが自らスティクスなんか歌っちゃって、いい冥土の土産になったな(<勝手に殺すな)。

なんてことはどうでもいいとして、この映画の爺さんもまた、「ロック」なんですよ。 ロックって、誰かのためじゃない、自分のため、「俺様」なんです。同情とか憐憫とか支援とか協力とかとは無縁の「俺様」の身勝手な行動が知らぬ間に周囲に影響を与えている。それがロケンロール。ね?まんまこの映画でしょ?

さて、ここから本題(<やっとかよ)。

私は『スウィングガールズ』の際に「努力を排除した成功」に不満を漏らした。 もっと努力しろよ!『ロッキー』みたいによ!生卵飲んだりぶら下がった肉にパンチしたりしろよ!と思ったもんだ。 しかしこの映画を観て(正確には先日『ハッピーフライト』をテレビで再鑑賞して)気付いた。 矢口史靖が描きたいのは成功譚でもマニア話でもない。

スチャラカな主人公達が渋々(あるいはその場しのぎで)始めた事に「本気」になる瞬間なのだ。

この映画で、理系(ロボヲタ)大学生らの熱い議論を目の当たりにして、窓際スチャラカ社員達が「本気」に目覚めるシーンはスリリングだった。 「嘘から出た真」がスクリーンに漲っていた瞬間。 (前置きのミッキー・カーチス談義の方が長いじゃないか)

余談

人型ロボットなのに変形してセグウェイみたいになるロボット。あれカッコイイ!超カッコイイ!

(12.02.05 品川プリンスシネマにて鑑賞)

(評価:★4)

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