[コメント] 人類資金(2013/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
全体的な印象として、“言いたいこと”が前面に出過ぎて、いろんなことが疎かになってる感じ。 いや、「疎か」というのは言い過ぎかもしれない。阪本順治にずっと付き合ってきて思うんだけど、最近ちょっと、「最後は力技でなんとかしちゃう癖」がヒドいんじゃないかと。この映画も森山未來の演説シーン(だけ)は立派だったよ。 それとあと、阪本順治は、時々「立派な映画」を撮ろうとするよね。それはたいがい裏目だと思う。
でもね、阪本順治贔屓だから言うんだけど、問題は福井晴敏にもあると思うんだ。
「映画好き」「自衛隊好き」「ガンダム好き」という共通点等から推察するに、この人の歩んできた道程や“こじらせ方”が私と似ていると思うんです。年齢もほぼ同じだしね。 だから、こういう設定自体は嫌いじゃない。なんて言ったらいいかな、『亡国のイージス』もそうだけど、国家存亡を巡る陰謀物っていうか。
ところが設定だけなんだ。 いや、正しくは、設定と主張したいことの乖離を埋められるだけのストーリーテリングができてない。 だから、“言いたいこと”だけが前面に出過ぎている印象になってるし、佐藤浩市の詐欺師っぷりが『ザ・マジックアワー』のナイフ舐めるのと同じに見える(<後半は関係ない)。
俺はもっとハードボイルドが観たかったんだ。『KT』みたいな。 だからね、そこに、何の悲哀もない女関係(有り体に言えば観月ありさ)を中途半端に出してほしくない。ただの添え物にしか見えない。 そこが、富野由悠季の洗礼を受けた福井晴敏と押井守の洗礼を受けた俺の違いか。関係ないな。
(13.11.13 新宿ピカデリーにて鑑賞)
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (1 人) |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。