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[コメント] ニシノユキヒコの恋と冒険(2014/日)

井口奈己はいつだって、男が逆立ちしても撮れないような女性の切り取り方をする。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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そもそも、現在日本最高峰の「頭のオカシイ作家」川上弘美の小説を映画化しようとすることがどうかしている。だって映像化不可能なものばっかりじゃん。もう大好き。だいたい彼女の目指す先は内田百ケン(<漢字が出ない)だからね。『ツィゴイネルワイゼン』レベルじゃないと彼女の小説は映画化できないはずなんです。

その一方で監督の井口奈己は、自主映画時代の『犬猫』も含めて長編全作観ているが、いつだって男が逆立ちしても撮れないような女性の描き方をする。 彼女の持つリズム感というか体内時計は少しゆっくりなようで、正直言うと冗長に感じる場合もあるのだが、独特の息づかいのようなものがある。

原作は未読(家にあるけど積ん読のまま)なので本当のところはどうなのか分からないが、少なくともこの映画は、女性達の何気ない仕草や表情を切り取る映画なのだと思う。 『ニシノユキヒコの〜』というタイトルだが、竹野内豊は主人公というより媒介役で、主人公は(監督が描こうとしているのは)それぞれの女性達なのだろう。

特に男性とかかわる時の女性陣の仕草や表情。普段は見せない顔。でも見たことがある仕草。女の人って恋をした時にこういう顔するよね、自覚してるかどうか知らないけど、って顔。男からしてみたら、あるあるなんだけど、見ちゃいけないような、少し恥ずかしいような。 そういうのは抜群に巧い。 男には絶対撮れない映画。

(14.02.16 ユナイテッド・シネマとしまえんにて鑑賞)

(評価:★3)

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