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[コメント] 17歳(2013/仏)

フランス映画らしさとオゾンの視点
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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原題は「若さと美しさ」とでも訳すのだろうか。 いろいろ解釈が可能で、逆に雰囲気だけで中味がワカラン映画とも受け取られかねない映画。なかなか難しい。

かつてのフランス映画らしい「女はワカラン」映画とも言える。 しかしこの映画には、女に振り回される男が存在しない。 ファム・ファタル物と呼ぶには、翻弄される側が不在なのだ。

では17歳の揺れる乙女心を描いた映画かというと、そうでもない。 少なくとも一般女子の物語ではないことは、「彼氏に嫌われたかもウンウン」言う友人の描写で提示されているだろう。 「何が彼女をそうさせたか」あるいは「恐るべき子供たち」といった告発・社会派的な視点もこの映画にはない。

冒頭、弟の双眼鏡越しに主人公の「17歳」は登場する。 そうなのだ。この映画は、どこか客観的に、彼女を「見ている」だけの映画のような気がする。 振り返ってみれば、オゾンの映画は「覗き見趣味」的なところがある。

翻弄される側が不在と書いたが、もしかすると、フランス映画伝統のファム・ファタルの前日譚なのかもしれない。 フランス女子には、若く美しい世代からファム・ファタルの資質があったりするんだよ、って映画なのかもしれない。

(14.03.02 シネスイッチ銀座にて鑑賞)

(評価:★4)

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