コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] アメリカン・スナイパー(2014/米)

揺らぐ、星条旗
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







私はイーストウッド御大に対して3つの評価があります。 一つは常に言っている「星条旗を描き続ける作家」。一つは割と監督初期の頃に多く言った「大人の演出」。もう一つは『父親たちの星条旗』や『硫黄島からの手紙』の頃に書いた「最近、何がやりたいんだか分からない」という評価。 よく考えたら、“俳優”クリント・イーストウッドが無口で眉間に皺を寄せて「何を考えてるのか分からない渋い大人」というキャラクターだったのだから、そっくりそのまま監督としての作風になったのかもしれないね。

この3つ全部がこの映画にはあって、分かりやすいメッセージ性はない。大人の多様性と言ってもいいかもしれない。 ぽんしゅうさんが書かれているコメントが的を射ているが、狼から羊を守る番犬の物語に正解はない。 もはや何が正義なのか分からない。いっそ分かりやすい反戦・厭戦映画だったら、いっそ分かりやすい娯楽・英雄映画だったらどんなに楽だったろう。ガチ過ぎて観ていて辛い。

「星条旗を描き続ける作家」ということに立ち返れば、この映画は星条旗=アメリカが揺らぐ物語なのではないかと思う。 『ディア・ハンター』に代表されるベトナム戦争ほど、アメリカはこの戦争をまだ客観視できていない。

(15.02.22 ユナイテッド・シネマとしまえんにて鑑賞)

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (5 人)シーチキン[*] ALOHA[*] pinkmoon[*] deenity[*] ぽんしゅう[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。