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[コメント] FOUJITA(2015/日=仏)

藤田嗣治を描いた映画ではなく、藤田嗣治を通して時代を描いた映画。美しいんだけど、それは東山魁夷じゃないのか?
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







藤田嗣治にも小栗康平にも特段興味はないのですが、ファーストショットが確実に藤田嗣治の絵を意識した画面から始まることくらいは分かります。そればかりでなく、しばしば藤田の絵のような画面が描写されます。

もしかするとこの映画は、藤田嗣治の目に写る世界を描写した映画なのかもしれません。

そう考えると、戦中の日本に戻ってからの描写も納得いきます。 何故帰国したのか、何故戦争画に協力したのか、といったストーリーや心理的葛藤に主眼を置かず、藤田の目で見た両極の世界が描くべき対象だったのではないかと思うのです。

この映画は“川”のイメージをしばしば登場させます。 それが何を意味するのか私には分かりません。ただ、「時代を描こうとした映画」という見方をすると、何やら意味ありげに見えてきます。

心理的葛藤に主眼を置いていないと前述しましたが、「銃後の世界で芸術家に何ができるのか」という苦悩は描かれていたように思います。そしてそれは、震災やテロの時代に「芸術家に何ができるのか」という監督自身の投影のようにも思えるのです。

ただ思うんだけどさあ、よく知らないけど、日本の田園風景で描かれる“絵”のような画面。あれ、藤田嗣治なの?東山魁夷じゃない? なんだか狐につままれた気分。あ、そういう映画なのか(<違う)。

(15.12.06 新宿武蔵野館にて鑑賞)

(評価:★3)

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