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[コメント] 台北ストーリー(1985/台湾)

エドワード・ヤン作品を観ると「映画ってこういうことだよな」としみじみ思う。エドワード・ヤンの長編第2作。没後10年で日本初公開。改めて早逝が惜しまれる。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
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80年代台北。高度成長期。バイクで走る若者の背後に「中華民国万歳」と書かれた建造物。きっと彼らには台湾の歴史的背景は関係ないのだろう。 過去に縛られた男。未来を見る女。時代の波に飲まれて変化していく街に男女関係が重なる。 ちなみに原題「青梅竹馬」は幼馴染の意味だそうだ。

実に地味な話で、普通なら企画書の段階でボツになるだろう。これはエドワード・ヤンとホウ・シャオシェンの自主映画であり、だからこそ台湾映画界の新しい風となり得たのだ。

この映画を支えているのは“映像での表現力”だと思う。音と光の使い方。写すものと写さないものの選択。台詞で言わせることと言わせないこと。観客に提示すべき情報と観客に推測させる情報。エドワード・ヤン作品はそうした計算が緻密だと思う。 そうなんです。実はエドワード・ヤンの映画は“緻密”なのです。

本当に映画らしい映画を撮った作家・エドワード・ヤン。60年足らずの人生、20年足らずの映画作家人生。その短い時間で彼が残した功績は大きい。

(17.07.17 ユジク阿佐ヶ谷にて鑑賞)

(評価:★4)

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