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[コメント] ナラタージュ(2017/日)

ビクトル・エリセには誰もなれないし、ましてやマツジュンは森雅之にはなれない。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







原作は読んでいませんが、聞くところによると、劇中に出てくるビクトル・エリセ『エル・スール』の話題、先生の奥さんが好きだという『ダンサー・イン・ザ・ダーク』なんかは原作にあるそうですな。 劇中、懐中時計が出てきますが、これは『ミツバチのささやき』を意識しているのかもしれません。

しかし、おそらく劇中話題に上るトリュフォー『隣の女』、映像も見せる成瀬の『浮雲』なんかは原作にないオリジナルじゃないかと思うのです。 つまりそれは「男と女の腐れ縁のお話ですよ」宣言をしているわけです。

また、靴の話が出てきますね。裸足で歩くシーンなんかも見せながら、最後はヒールの足元アップを写したりする。 これは劇中の名画座・成瀬巳喜男特集で『浮雲』『流れる』と併映されていた『女が階段を上る時』ならぬ「女がヒールを履く時」の物語でもあるのでしょう。靴を履かされる(脱がされる)女から、自分で靴を選ぶ女へと成長するのです。

映画好きで、その映画的手法の引き出しも多い行定勲。実に映画的な表現が満載です。

何故ナラタージュで回想形式のストーリー展開なのか(それが本当に効果的なのか)は疑問ですが、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のように、現在と回想を固定カメラと手持ちカメラで使い分け、浅い被写体深度で近視眼的物語であることを表現する。 雨やプール事件など有村架純に「水」のイメージを持たせ、先生の「火」の事件と対比させる。 車を運転する有村架純と助手席の先生は横並びで、そこに挿入される先生と義父の回想は向き合っている(それを真横から対比的に撮る)。 車中で横並びの二人、まっすぐ前を(睨むように)見ている有村架純と酔っているのかうつむき加減の先生。つまり二人は同じ方を見ていない(見ている先が違う)。

いやもうね、映画的なテクニックが満載なんですよ。 前日『ミックス。』という映画的要素ゼロの映画を観たせいもあるんですがね、映画的なテクニックは堪能した。

ただ、ビックリするほどツマラナイんだ。

(17.10.29 シアタス調布にて鑑賞)

(評価:★2)

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