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[コメント] The Beguiled ビガイルド 欲望のめざめ(2017/米)

今までポップアートを描いていたソフィア・コッポラが、がっつり油絵・古典画を描いてきたような印象の女性映画。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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我が家では「コリン・ファレルを笑う会」と「ニコール・キッドマンに二流女優のレッテルをベタベタ貼る会」というのを夫婦二人だけでやっていて、加えて宇宙と交信できるMJ(『メランコリア』『スパイダーマン』)、もはや宇宙人のエル・ファニング(『パーティで女の子に話しかけるには』)が結集。しかも監督は親父よりセンスがいい(笑)ソフィア・コッポラ。それで『白い肌の異常な夜』。なんじゃそりゃ!超絶ウヒウヒ映画の予感。映画を観る前の環境設定が面白すぎる。ジョルジオ・モロダーがスザンヌ・ヴェガの曲をブリトニー・スピアーズに歌わせた時くらい面白い設定だった。

ところが、そんな私の勝手な面白妄想をソフィアは凌駕していくんですね。

まるで洞窟のような森。闇に浮かぶ白い服。映画らしい情景。撮影監督フィリップ・ル・スール(たぶんソフィア作品は初めて)の手腕なんでしょうけど、どこを切り取っても絵画のような画面。センスだけで撮ってたソフィアが、計算された画面で堂々とした映画を構築してきた印象。 私はソフィア・コッポラを「女子大生的私小説映画作家」と評していたのですが、ここんとこ少しずつ変化というか挑戦してるんですよね。『SOMEWHERE』では男目線、『ブリングリング』では自分とは価値観の異なる世代、そしてこの映画では私小説的要素を排除した、言わば「古典画」。

でもやっぱり彼女は女子を撮るのが好きなんです。結果、女子視点の女性映画になっている。 『白い肌の異常な夜』がドン・シーゲル×クリント・イーストウッドというゴリゴリマッチョ作品なのに対し、この映画は180度視点が違うと言っていい。 だから、女同士のやりとりが、観ていて落ち着かない。ミゾミゾする。 そして女性視点だからこそ、門越しのラストショット(=並ぶ女性たち)に込められたメッセージを感じるのです。

隔離された女の園は幸せな空間だと思っていた。(男の)排除が秩序であり、幸福だと信じていた。砲弾の音が近づき不安もあるけれど、自分たちの居場所はここしかないと信じていた。いや、そう自分に言い聞かせてきた。しかし、一度別世界を知ってしまったら、再び女の園に(形だけ)戻っても全てが元に戻るわけじゃない。

今ではもう、彼女たちの視線は外の世界を向いている。

同じことは世の中のあらゆる場面で言えるのかもしれません。 これをそのまま、社会における女性の立場に置き換えてもいいし、人種差別に置き換えてもいい。旧態依然とした変われない体質の組織に置き換えてもいい。むしろ普遍的な話にすら思えてきます。

もしかすると、退屈と孤独と空虚を描いてきた作家=ソフィア・コッポラが今回挑んだのは、変化球の「鶴の恩返し」を通した変化球の恐怖映画。変化に対する恐怖(あるいはその先にある希望)だったのかもしれません。

(18.02.24 TOHOシネマズ新宿にて鑑賞)

(評価:★4)

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