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[コメント] 甘いお酒でうがい(2019/日)

ヘッドフォンで鑑賞するといい映画なのかもしれない。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







私は『勝手にふるえてろ』を観てからの大九明子ファンなので最近の作品しか知らないのですが、30-40歳代の女性を描く作家なのだと思っています。ドラマ「捨ててよ、安達さん」とか大好き。 彼女が描く主人公は、女性にしか描けない女性たちだと思うのです。 妄想とこじらせが混じったその姿は、自己投影もあるかもしれません。

(おそらく同い年の)河瀬直美が別世界のフェミニズムを感じさせるのに対し、大九明子が描くのは身近で自然体の女性。しかし、(これまたおそらく同い年くらいの)井口奈己がかつて描いた超自然体よりは主観に満ちて、且つ今風にややカリカチュアされている。そんな印象です。てゆーか井口奈己何年撮ってないんだよ。長谷川和彦並みの寡作だな。

しかしこの映画、『架空OL日記』よりもリアルではない気がします。 もちろん、映画らしい情景とか女性らしい描写とかは本作の方が断然優れています(足元や空のショットとか抜群に巧い)。だって『架空OL日記』はバカリズムのネタだからね。あれはネタとして面白いの。 ところが本作は、本来、女装したシソンヌじろうが乙女チックなことを言うから「何言ってんだよ、バカだね(笑)」と「有吉の壁」で有吉が笑うように可笑しいんだと思うんですよ。それを松雪さんがやったら普通じゃない?

大九明子は、コントではなく女性映画に仕上げられる勝算があったのかもしれません。 だとしたら、やっぱり「ネタ」がリアルじゃないのが誤算だと思うのです。 二回り近く年下の男子との恋愛模様は、そもそも現実的な「あるあるネタ」ではない上、松雪さん“なら”アリですよね、って話なのです。だって白鳥麗子だよ。 かつて小泉今日子が20歳年下の亀梨和也と交際報道があった際に「さすが小泉さん」と思ったものだけど、松雪さんなら全然あり得る話。でも一般人には非現実な話。異世界か。

しかもこの年下男子、「彦星くん」ですよ。ああ、「anone」っていうドラマで広瀬すずの相手役ね。しかも『渇き。』で小松奈々の相手役ですよ。そしてすっかり大人に成長したら相手は松雪さんですよ。うらやましい。 つまり彦星くんも松雪さんも「異次元」なのに、中途半端なあるあるっぽい(でも全然共感できない)ネタを提示されたところで、どこで何を楽しめばいいのか分からない。 もはや女装のシソンヌじろうが演じたところで、本当に可笑しいかどうかすら疑問。

ああ、そうか。相変わらず美しい松雪さんを眺めながらその囁きをヘッドフォンで聞く「ASMR」的な楽しみ方をすればいいのか。

(20.10.04 テアトル新宿にて鑑賞)

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ぽんしゅう[*] 水那岐

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