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[コメント] にっぽん昆虫記(1963/日)

バイタリティというより「生命力」という表現が似合う“裏”女性映画
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







この映画の最大の妙はタイトルにあると思う。 「昆虫記」と銘打ったことで「人間観察映画」であることを高らかに宣言した。 従って、登場人物の誰かに感情移入して観る映画ではないのだろう。 そして、この映画の登場人物達を評するのは、バイタリティではなく「生命力」という言葉が相応しいのだろう。

興味深いのは、しばしば背景に「争議」を描いている点。 労働争議や安保闘争、台詞だけだが農地解放など、普通太平洋戦争を大きく取り上げたくなるところを、あえて「国内の闘争」に焦点を当てている気がする。 もちろん、そうした状況下でもたくましい女性の姿を描きたかったのかもしれない。 しかし私は、国内(同族)闘争もまた「昆虫記」の一つとして捉えているような気がする。

余談

時に滑稽で辛辣な人間観察映画は山下敦弘に受け継がれていると思うんだよなあ。 特に『松ヶ根乱射事件』。現代的でゆるーいけど。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人) ぽんしゅう[*]

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