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[コメント] にあんちゃん(1959/日)

イマヘイは「(社会的)弱者のバイタリティ」に惹かれるようだ。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







この映画の舞台は昭和28年か29年。 ゴジラが日本に初上陸した頃である。 言い換えれば、にあんちゃんが目指した東京が当時どんな姿だったか、それは初作『ゴジラ』を観れば分かるわけだ。 もっとも、この映画でも一瞬東京に行くんだが。

私の今村昌平知識は乏しいものだが、その中で私の持つイマヘイ感は2つある。 「社会的弱者が力強く生きる様を描く」ということと、「“欲”という本能を描く」ということ。 2つと言ったものの、両者は根底で繋がっているんだが。

ややもするとこの映画、「貧しさに耐える兄弟の感動作」として世間で捉えられているかもしれない。 それはそれで間違いじゃないんだが、私が思うに、観客の安易な同情なんかイマヘイは欲してなくて、「それでも生きていくバイタリティ」を描きたかったんじゃなかろうかと思う。 文部省推薦的な美しい話よりも、泥沼から這い上がる人間の“本能”に魅力を感じる人なんだと思う。

本来トンガッたイマヘイ映画の中で、この映画は「子供主人公」のお陰もあって、世間でも受け入れやすいポジションにある作品だと思う。 不満だ(笑)。

本当はね、新藤兼人『裸の島』みたいな、観てて嫌になるくらい悲惨な話が観たかったのよ(<どういう趣味だ)。 考えてみれば、今村昌平の映画は悲惨一辺倒ではなくて、どこかユーモアがあると言うか、活力のある映画なんだよな。

いやしかしねえ、ある一面とは言え、わずか50年前の日本の姿ですよ。 この頃の子供が、今や邪魔臭い年寄り扱いされているわけですよ。 当時の東京の姿とあわせて、感慨深いと言うか、ショックと言うか・・・。

(11.11.06 BSにて鑑賞)

(評価:★3)

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