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[コメント] 鬼火(1963/仏)

ルイ・マルにその気はあったか?いろいろ雑感→
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







鬼火・・・(1)人魂(ひとだま)。火の玉。幽霊火。(2)葬式の出棺時に門口で焚く送り火。

むしろ私の感想は「青春の残り火」。だがその感じはよく出ている。車道を渡るシーン。雨の中を歩くシーン。

太宰治のこと

20年来の愛読書「人間失格」。一定のポイント(メンタル面で)になると読む(4、5度ほどだが)。 だからこの主人公の心情はよく分かる。もしそういう時期にこの映画を観ていたら凄い事になっていたかもしれない。だが、あいにくこの問題について私の中で結論が出ていない。

北野武映画のこと

「死にゆく男の美学」としてワイダペキンパーとの対比を考えたことはあったが、元はこれだったんだと発見。「死に向かって歩く男のスケッチ」。『その男凶暴につき』サティ使用。『あの夏いちばん静かな海久石譲サティまがい使用(盗作?)

作家としてのルイ・マル

ヌーベル・バーグの2年前に『死刑台のエレベータ』を世に出し、ヌーベル・バーグの先駆者と言われたルイ・マル。それほど数を観てもいない私の勝手な解釈。斬新な手法を用いた点に関しては先駆者であろうが「内なる衝動」で撮りたいものを撮っている「作家」には見えない。『フェリーニの 8 1/2』ほどの作家的衝動が感じられない。雰囲気が先行してしまう(それだけ上手いのだが)せいかもしれないが、太宰治の暗の反動「走れメロス」、いしかわじゅんの陽の反動「東京物語」の位置に『地下鉄のザジ』があるとはちょっと思えない(勝手な解釈だけど)。 彼にその気はあったのか?ひょっとすると「哲学」したいがための手段なのでは?との邪推も

卒業して10年ちょっと。大学時代の友人が皆で集まろうと年賀状に書いてきた。さて、この「青春の残り火」、どうしてくれよう。

皆の高採点ぶりにビビる。emau様・サイマフ様のながーーーいreviewにもビビる(人のこと言えない)。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)torinoshield[*] ピロちゃんきゅ〜[*] 若尾好き セント[*]

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