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[コメント] 蝶の舌(1999/スペイン)

ラスト解釈4通り(おもいっきりネタバレ)
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







モンチョが投げつけた言葉の真意は一体何か? その解釈で映画全体の解釈も変わるような気がする。

1.心ならずも言ってしまった言葉であり本心ではない。つまり言葉とは裏腹に、本当は先生と心が通じ合っていたという解釈。

とすると、この映画は、祭りのシーンに代表される様に、少年の目を通して見た内線前の「古き良きスペイン」の姿を描いており、「ヒーリング映画」という宣伝文句にも一致し、文部省(文部科学省?)推奨であるのも頷けるし、少年と先生の交流に心が温まったという意見も納得できる。

しかし、この解釈だと、中国女や異母姉妹等無駄なエピソードが多すぎる事になる。「衝撃のラスト」という宣言文句も偽りになる。演出的にも「蝶の舌!」と叫んだ後、先生の顔のショットを入れるべき。それならば二人の心は通じ合っているという表現になるはず。ま、声が届かなかったという解釈も成り立ち、それはそれで悲しい。(でも聞こえなかったという顔のショットがあってもいい)・・・追記・・・原作だと先生が見つからなかったんだと

2.あの言葉は本心である。つまり、彼の中であの言葉を言わせる「何か」があり、その過程を映画は綴っているのであるという解釈。

とすると、この映画は少年の成長過程を描いた映画という事になり、tomwaits さんのreviewに詳しく書かれてあり、私も全くその通りだと思うし、総てのエピソードに無駄がなくなる。

しかし、この解釈だと「ヒーリング映画」という宣伝文句が偽りになる。「蝶の舌!」と叫ぶ必然性が見えない。(ましてやそれが邦題なのだ)

3.上記1.2.の両方である。憎悪に近い言葉を心から吐き捨てる母親と心と裏腹の言葉を言ってしまう父親の中間であるという解釈。

これまで本で得た知識しかなかった少年が徐々に現実の世界に触れていく。それまで真実は一つしかないと思っていた世界が決してそんな単純なものでは無い事を知っていく。究極が内戦勃発−あのラストだ。子供の言葉は本心でもあり嘘でもある。頭はグルングルンしちゃっているのだ。世の中がグルングルンしちゃってる様に。まるで蝶の舌の様に。

この解釈ならば、わざわざ黒板に渦巻きを書く意味が出てくる。

しかしこの解釈だと、映画のテーマが上記の2つよりも「政治映画」の色合いが濃くなってしまう。子供=国の将来を背負う「若い芽」はこの後どっちの方向に伸びていくのか、そしてその結果が今のスペインなのだ、という解釈に(私なら)至る。正直スペイン内線は門外漢なので、あの内線がどの程度現在のスペインに暗い影を落とし、それをこの監督がどう思っているのか分からない。だが、もしそういう映画だとしたら、手段として子供を使ってお涙頂戴風のエンターテイメントに仕上げるのははっきり言って卑怯だ。(だから3点)

4.上記のどれでもない。

子供のことだから意味も分からず親と同じ酷い言葉を投げつけたのだ。そう、言葉の意味など分かってなかったのだ。「蝶の舌」もなんだか言う鳥の名前も。つまり、これまで先生が教えてきたこと総て理解していなかったお馬鹿ちゃんだったのだ。

この解釈ならば、8歳にもなっておもらししちゃう様な奴だという描写に意味が出てくる。 しかし、この解釈だとこの映画総てが台無しである。

さて、あなたはどう思います?

追記

tomwaitsさん、muffler&silencer[消音装置]さん、ありがとうございます。でも、あんまり私の話を鵜呑みにしないでくださいね(^^;;;

tomwaitsさん、この映画に関して、どんな映画評論家よりあなたのコメントが一番いい。間違ってるのは配給会社。

m&s[消音装置]さん、あなたとは共通に好きな映画は少ないけど、共通に嫌いな映画は多いみたいです。ここだけの話、あなたのコメントは常に注目しているのです。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (12 人)NOM[*] はっぴぃ・まにあ[*] ミュージカラー★梨音令嬢[*] はしぼそがらす[*] あき♪[*] レネエ[*] ぱーこ[*] 狸の尻尾[*] ハム[*] ロボトミー[*] 町田[*] muffler&silencer[消音装置][*]

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