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[コメント] シモーヌ(2002/米)

シミュレーション1「君たちが喜んでいる例えば『マトリックス』なんてのはこの程度のもんなんだよ」と言ってみるテスト
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ラストワンショット(エンディング後に1エピソードあるから正確にはラストじゃないけど)のブルーバック(緑だけど)の前でソファーに一人座るアル・パチーノの姿が総てを物語っている。

例えば、すっげー美人がバリバリ整形だったと判明したらどうする?(女性の場合は美少年に置き換えてみよう)ドン引きするでしょう?え?しない?あ、そう。え?ニューハーフだったら引く?ま、それも分かるけど、えーっと、とりあえず少しでいいから引いてくれないかな。話はそこからだから。

つまり、裏を返せば、最も面白いのは「生身の人間」だという話しなわけだ。 ジャバ・ザ・ハットがCGで動いたところでなんぼのもんじゃい! あ、ごめん、『エピソード2』観てないからその後何がCGで動いてるのか知らんのよ。ヨーダとかCGで動いてるの?

面白いなあと思ったのは、劇中と現実に於ける制作側と観客の関係。 例えばブタの餌を食べるシーン。 劇中の観客は「生身の人間」が演じていると思っている。 それを観る我々現実の観客は「本当はCG」であることを知っている。 でも本当に本当は「生身のレイチェル・ロバーツ」が演じている。 まるで合わせ鏡かだまし絵。現実の我々も巻き込んだ『マトリックス』。 だから本当はグルッと回って我々現実の観客も劇中の観客同様「うげげっ!」と思わねばならんのだが(思ったけど)、劇中の制作者が「CG」って言ってるわけだから現実の観客は「ふ〜ん」ってなもんなのだが現実の制作者は「生身の役者」を口説いたり泣き落としたり叱ったりしながら撮ったわけで(合成かもしれんが)、それを観ている劇中の観客と現実の観客は・・・あー、もうわけわからん!

監督作『ガタカ』と『トゥルーマン・ショー』の脚本に引き続き「SF作家」であることを世に知らしめたアンドリュー・ニコルだが、ルーカスやウシャシャなんとか兄弟ら自称SF作家(ただの設定オタ)と大きく異なるのは、必ず「現実」を描いていることにある。 「いくらパソオタだからって小娘ごときがあっさり修復できんのかよ!」とか「それ以前にディスクそのものを捨てちまっただろうが!」とか、 細部は粗々でアラアラって感じではあるが、描くべきテーマが明確であり、それに向けた「必然としてのSF」であるから好感が持てる。「生身の人間」の喜びや苦悩が描かれているから面白い。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (8 人)freetree FreeSize[*] 鵜 白 舞[*] BRAVO30000W![*] 勝 改蔵 ゼロゼロUFO[*] トシ[*] 死ぬまでシネマ[*]

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