[コメント] タイタニック(1997/米)
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うーん,私にはディカプリオの単なるアイドル映画にしか見えなかった。映像技術だけの映画って感じがする。
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この作品は,映像技術の迫力に内容や人物描写が追いついていないと思う。
かっこいい主人公は最後までかっこよく,悪いヤツは最後まで悪く,嫌味な人は最後まで嫌味で,と人物描写が非常に単純でステレオタイプのところがまずダメだと思う。
主人公のキャラクターも薄っぺらで,彼が上流階級の人間やそれに仕える使用人や船員たちに反感を持つのはわかるが,いざ船内に閉じ込められそうになると「誰か〜!」と誰彼構わず助けを求めるところも何となく見苦しかった。
また,脇役がきちんと描かれていなかったと思う。主人公2人以外に存在感のある人物がいなかったし,脇役による気の利いたセリフというのもなかったような気がする。まわりから煙たがられている太めの婦人(キャシー・ベイツ)や,沈没するまで演奏を続けた音楽家たちがちょっといい味出していたけど,断片的にしか出てなかったし,唯一ヒロインのフィアンセだけは強烈な印象だったけど,リアリティのまったくない,その辺のテレビドラマによく出てくる単なる"最後まで嫌な奴"だったし。
だから,船が沈む後半でいろんな人々の最後を描いていたけど,もともとそうした人々のエピソードがまったく描かれていないので,あまり感情移入できないのだ。
ここには「スターウォーズ」や「ブレードランナー」のような独自の世界観も見られず,映像の迫力に対抗できる内容があるとは感じられない。冒頭にトレジャー・ハンター(?)を出すのなら,この人達の目を通して,もっと出来事を語らせるとか,ストーリーに絡ませたら面白かったと思う。
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主人公2人が命をかけてお互いを守ろうとするのもわかるが,数日間でなぜそうした関係にまで発展したのかがほとんど描かれていないので(一度しか観てないので,私が鈍感で気づかないだけかもしれませんが),二人の恋愛もすごく薄っぺらに思えてしまう。
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なお,最後まで演奏し続ける演奏家たちって,観ていて何となく『麗しのサブリナ』(B・ワイルダー)のクァルテットを思い出してしまった。
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