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[コメント] 刑事コロンボ 別れのワイン(1973/米)

犯人を逮捕した後,必ずと言っていいほど寂しそうな表情をするコロンボが何とも言えない。
ワトニイ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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この作品,犯人のトリックやコロンボの推理の鮮やかさはそんなにすごくはないけど,作品全体の出来を総合点で見たらシリーズの中で3本の指に入る名作だと思う。

コロンボのように冒頭から犯人が明らかになっている倒叙推理の場合,意外な犯人とか意外なトリックというのはあり得ないので,最大の見せ場は,どうやって犯人を追いつめるかという点にかかっている。

その辺の描き方がコロンボシリーズは実に巧く,殆どの作品のラストが,犯人の心理や事実関係の盲点を付いてアッと言わせる鮮やかなどんでん返しとなっている。

この作品では,takud-osakaさんがレビューで指摘されているように,コロンボが論理的に証明し得たのは「ワイン蔵の温度が一時高くなっていたこと」だけだ。そこから先は結局,コロンボが犯人の自白を巧妙に導くことになるのだが,その誘導の仕方が実に鮮やか。その背景には,犯人のワインに対する思い,すなわち「犯人にとっては,殺人が露見する危険を犯すことより,ワインに関して妥協することの方が耐え難い」ことをコロンボが見事に見抜いていたことがあげられる。おそるべき洞察力と緻密で周到な捜査。コロンボがワインの勉強をするのも,犯人のワインに掛ける思いがどの程度かを見極めるためだったはずだ。

確かに殺人を犯したことは決して許せないことだし,逮捕して罪を償わせることこそが刑事の使命だろう。しかし,同時にコロンボは,犯人のワインに対する情熱,さらにはその生き方や考え方に対してきちんと敬意を払って相応の扱いをしており,それゆえにコロンボはラストで犯人を捕まえる時,寂しそうな顔をするのだと思う。そこがまさにコロンボを味のある刑事にしている所以であり,このシリーズの魅力でもあると思う。

(余談ですが,頭は切れても所詮は世間知らずの子供なのに,ラストで得意げに犯人に対し「そんなことをして,亡くなった○○さんが喜ぶと思いますか?」などと人生訓めいた説教をたれる金●一少年とか名探偵コ●ンって,どうも好きになれません。話はそれなりに面白いので結構見ちゃうんですが…。)

もう一つ,この作品は邦題のつけ方も実に巧いと思った。基本的に,原題の趣旨がまったく生かされていない邦題の付け方は好きではないのだが,この邦題は,客観的・説明的な原題以上に作品内容を実にうまく表していると思う。

(評価:★5)

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