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[コメント] ソードフィッシュ(2001/米)

冒頭のトラボルタの映画論が決め手。でも,他の映画のネタばらしになっているのは,ちょっといただけない。
ワトニイ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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アル・パチーノ主演の『狼たちの午後』。まだ観たことないのに,大筋がわかっちゃったじゃないか!?

でも,ハリウッド映画を痛烈に批判する冒頭のこのセリフが,この作品のラストをも暗示しているのはお見事。ガブリエル(トラボルタ)のセリフを借りて,監督の映画に対する考え方を語っているのだろう。ただ,やや理屈っぽく独善的なこの映画論(映画観)は,テロとの戦いを正当化するガブリエルの価値観と同様,ちょっと胡散臭くて詭弁のように聞えてしまう上,中途半端な気がした。どうせなら,もう少し「正義とは,善とは何か?」を掘り下げて描くか,あるいは,単純にアクションを前面に出すかしてくれた方がスカッと観ることができたような気がする。

それと,ラストの解釈については,梨音令嬢さんとほぼ同じだけれど,ジンジャー(ハル・ベリー)は初めから二重スパイのように,一見,組織の裏切り者と見せておいて実はガブリエルの最も信用できる仲間だったということでしょう。スタンリーのように裏切る可能性がある者をさらに出し抜くために,盗聴器を仕込んでいるところをわざと見せたりして,彼の信用を得ておく。銀行内では防弾チョッキを着て射殺されたふりをして(射殺後の彼女の顔が大写しになってたし),スタンリーが外に出たらすぐに逃げたのだと思う。

一方,ラストのガブリエルの死体。こっちはアルシュさんに近いのだけど,私は,ワインセラーにあった死体は,本物のモサドのテロリスト(ガブリエル)を捕まえて,殺す前にトラボルタ(ガブリエル)に似せて整形しておいたのではないかと思う(トラボルタの方がテロリストに似せて整形したとも考えられるが,それだとリスクが大きいような気が…)。

当然,歯型は一致するし,整形の痕は焼け焦げてわからないし,トラボルタ(ガブリエル)の顔を直前まで間近に見ていたスタンリーだけが死体の検分に立ち会って「同一人物だ」と証言したわけだけど,最初からスタンリーを騙すために,ワインセラーにあの死体を置いておいたのではないだろうか。あとは,この死体をヘリコプターに積んでおき,自分は乗らずにビルに降りて,どさくさに紛れて逃げ出す?(でもFBIが,降りてくる者全員を逮捕していたはずですが…。(笑))

要するにガブリエルは,自ら語ったマジシャンの話と同じ様に,クレバーなスタンリーの技術を利用する際に裏切られるリスクも初めから周到に計算し,あらゆる可能性を予測して考えられる手立てを講じておいたということだと思う。

(評価:★3)

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