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[コメント] アリス・イン・ワンダーランド(2010/米)

一味足りないティム・バートン映画。正当派の映画としては悪くないのだけれど、でも、それじゃ満足できない。
Walden

ティム・バートンとジョニー・デップの熱烈なファンというわけではないのだけれど、このコンビの映画はやはり気になる。

「アリス」という超有名な題材をティム・バートン風に料理するとどうなるのだろうという期待を抱きながら見に行った。

物語は、「アリス」が19歳になっているという設定で始まる。子どもの時に“ワンダーランド”にアリスは行っているが、そのことを本人は覚えていない。ただ、同じ夢を何度も見る自分が少し変だと思っている。

パーティーで貴族にプロポーズをされ、それが「周りのみんなが期待すること」であるとは知りつつも、すぐに答えることができないアリスは、白いウサギを追いかけて、庭にある穴に落ちていく。アリスがたどり着いたのは、不思議な国であった・・・というお馴染の展開のお話。

始めから、CGを駆使したティム・バートンらしい、色彩豊かでありながら暗さの漂う世界が展開される。キャラクターたちは、役者さんたちの特徴を残しつつも、異形のものとなっており、それでいてどこか滑稽さがつきまとう。

しかし、これは映画そのものの問題ではないが、3D眼鏡が良くない。『アバター』の時も思ったが、中途半端な3D効果を観るくらいだったらい、色彩豊かな2Dの方がよっぽど良い。ただでさえ暗い映画館の中で、なぜに暗い3D眼鏡をかけ、ロクに3D効果もない映像を見なければならないのか。3Dしか選択肢がなかったから3Dで観たものの、300円も追加料金払って見難い映画を観たくないと思うのは私だけだろうか。

・・・などという3D批判はともかく、アリス・イン・ワンダーランドの映像世界そのものは見ごたえがある内容だ。

しかし、逆に言うと、それ以上にあまり見所が無かったというのが正直な感想だ。物語は、有り体に言えば、アリスが、大人として、自分自身を確立していく過程を描いた成長の物語だ。

そういう方向性は悪くないし、ディズニーの映画としては当然の展開なのかもしれない。主人公アリスを演じるミア・ワシコウスカという役者さんの持つ雰囲気は悪くない。マッドハッター演じるジョニー・デップや赤の女王を演じるヘレナ・ボナム=カーターは相変わらずいい感じだ。その他にも、実質的には声だけの出演ながら、有名どころが結構出ていて、脇を固めている。

でも、やっぱりなんだか一味足りない。

同じようにある種の教訓を含んだお話しながら、『シザーハンズ』がなんともいえない物悲しさをまとうひねくれたお話であるのに対し、こちらは非常にストレートな話だ。原作は、(全部読んだことはないけれど)分けが分からない部分もある作品であるのだが、それが捨象されてしまった感がある。

最初、プレビューで観たときは、アン・ハサウェイ演じる白の女王がもっと悪いやつなのだと思ってある意味期待したのだが・・・。

ジョニー・デップも、本領発揮できずに終わった感がある。ちょっと残念。

ちなみに、作品では原作同様たくさんの言葉遊びがあるらしいのだが・・・残念ながら私にはほとんど聞き取れなかった。まだまだ修業が足りない。

2010年4月18日 TOHOシネマズ 上大岡

(評価:★3)

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