コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐(2005/米)

EP4へのつじつま合わせの域を出ていないのが何より残念。フォースの力を迫力満点の映像にしたのとは裏腹に、フォースの哲学はどこかに霧散してしまった。EP4〜6を先に見ておいたことことが救いである。
のぶれば

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







先にEP4から制作され、EP5,EP6と続いた映画である。 その旧3部作に心奪われ、フォースに関心を持ち、強いフォースにあこがれた少年時代だった。

EP1で、クワイ=ガンジンやオビ=ワン、アナキンのフォースは痛快だった。 旧三部作では、お目にかかれない圧倒的な強さのフォースを垣間見た気がした。 フォースとは何か?を観客に問うような流れの中で、アナキンがフォースを身に着けていく。それは単に力が強いだけではなく、哲学的なアプローチもあった。 個人的には、スターウォーズシリーズはフォースを明らかにするものだろうと思っていたから、EP1は納得の作品だった。

それが、EP2では迫力あるCGの繰り返しで、見た目のアクションは豪快だが「フォースとは何か?」哲学的な部分が弱くなってしまったように感じてならない。CGがすべてを駄目にしているとは言わない。でも、フォースの哲学が語られてきた旧三部作や、EP1に比べ、哲学が弱く、CGのシーンばかりが目につくようになった。

そしてEP2のレビューにはこう書いた。 「個人的にはスターウォーズはある意味フォースを明らかにする作品だと思ってた。Ep4〜6、そしてEp1の順により強いフォースが表現されてきたと思ってた。それだけに、ここに来てフォースがCG技術による表現にとって代わられた様な気がしてしまうのは非常に残念。スターウォーズファンであるからこそ、フォースの映像が幾ら凄くても、フォースの哲学に欠けていたら、「フォースって…ひょっとして、CG技術のことなのか?ルーカス!!」と言いたくなってしまうのだ。」

「限りなく★3に近い★4にして、Ep3での回答を待つ。Ep3がフォースと共にあらんことを祈っており候。」

果たして、EP3で描かれたのは、ダースベイダーを名乗るアナキンと、その師オビ=ワンとの壮絶な戦い。 師匠と弟子の壮絶な戦いだが、フォースとは何かを説き、何のためにフォースを使うのかという視点がいつの間にかなくなり、延々と戦いを続ける。こう言ってはなんだか、パルパティーンが暗黒面に引きずり込もうと語ったことの方が、強さを身に着けたいアナキンにとって説得力があった。盲信に近いとはいえ「パドメを救うこと」で己の力を使おうと、仲間を裏切っていく。

でも、オビ=ワンは、結局パルパティーンの話術の罠から、ダースベイダー(アナキン)を救えなかった。ダースベイダーはフォースを信じられず、強さを求めてしまう。フォースに守られていた青年、ダースべイダーは「正義」より悪の「強さ」を選んでしまうわけだか、これは設定上でもそういうストーリーにしないとEP4に続かないから、戦いながら「フォースとは何か」といったがなかったように思う。

観客にはそれを十分にこたえることなく、見事にダースベイダーを復活させ、二人の子どもを離れ離れにしてしまった。だからつじつまは、あっている。 しかし「フォースとは何か」があいまいになってしまった。 「フォースとは何か」はスターウォーズでも大事な要素であると思う。

つじつま合わせが先行し、フォースが敵を派手に倒すためのものとして描かれるならば私みたいなものは、シリーズで問おうとしたフォースとは、結局CG技術の産物だったと思わざるをない。返す返す、それが残念だ。

旧三部作では、フォースの戦いは力との戦いだけでなく理念の戦いだったように思う。 それが、いつからかただただ派手な戦いだけのようになってしまった。

これまでずっと☆5と☆4をつけてきたわけだし、 スターウォーズシリーズに☆3はつけたくなかったが、苦渋の決断です。

私にとってはフォースはCGじゃなく哲学だっただけに、EP2では「フォースって…ひょっとして、CG技術のことなのか?ルーカス!!」と問うたけれど、今回は「フォース、いつの間にかCG技術になっちゃったね、ルーカス・・・」と残念に思うばかりだ。

シリーズ6本としての値打ちが下がるわけではないが、つじつま合わせになってしまったEP4には、☆4はあげられないので候。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)fufu[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。