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[コメント] 検察側の罪人(2018/日)

木村拓哉、二宮和也は、共に感情を抑える演技に真価があると思っている。その二人の良さを出し切れなかったのがとても残念。そして、後半はストーリー的にも自滅した感じを拭えない。
のぶれば

**ネタバレ注意**
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 二宮和也を意識し始めたのは、『硫黄等からの手紙』。その中でも、土を掘る作業を不意に止め顔を上げたシーン。そして、手榴弾で自爆死した人の返り血が頬にかかったシーン。演技ではないような演技が強烈に頭に残ってる。最近では「ブラックペアン」で、電話してる時の「母ちゃん・・・」て話しかけたシーン。手術で困っている人を追い詰め圧倒させるシーンよりもそちらに二宮和也の真価が出ていたと思う。

 木村拓哉で一番気に入っているのは、『武士の一分』。復讐の理由を尋ねられての返事のシーン。本心を抑えに抑えても、それでもわずかに漏れてしまう本音。格好良さや、見た目の圧倒的な迫力が人気なんだと思っていたのに、それを覆す演技に彼の真価を見た気がした。あれ以降、彼の演技には幅が大きく広がったように感じている。

 どうして、そういうシーンを撮り込む作品にしなかったのだろう?優秀であるはずの検察官が、あれほどまで感情に任せて怒り、罵倒し、自白を迫るなんて…と、疑問を感じたのだ。自分の思いを裏切ることを静かに苦悩するシーンが印象に残る作品であったなら、相手を圧倒するシーンでも、優秀な検察官として計算された怒りがもっとリアリティに感じられたのじゃないかな?

 後輩に尊敬されているほどの検察官が、自分のストーリーに暴走するまでの変貌も、あまりに嘘っぽく感じられた。ここでも、観客に納得できる葛藤、苦悩の場面もなく、置き去りにされた感が満載。過去の事件があったにせよ、あっけなく善から悪へ変貌できるキャラ設定にキムタクは似合わないと思う。前半と後半で主役の信念がいとも簡単にコロッと変わってしまったように思えたところで、作品への興味は、ほとんどなくなってしまった。「スターウォーズ EP2」で、アナキンがあっけなくダークサイドに転落した場面を思い出したほど、がっかりした。

 ストーリー的にも、納得できない。前半、検察官の在り方を問う様な内容だったので真剣に観てたのに、後半、検察官があんなにも簡単に殺人に走り、呆気にとられた。検察の正義を問う「本格的社会派ドラマ」の振りして、誰が殺人をしてもおかしくないって感じの「B級サスペンス」のイメージ。

 検察官の復讐心で安易に犯人を殺す映画で、木村拓哉と二宮和也、この二人の演技が殺されてしまったという思いに至り候。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)がちお[*] セント[*] ぽんしゅう[*]

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