コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 海猿(2004/日)

この手の作品って、展開を「偶然」に頼り、説明をセリフにしちゃうよね。そりゃ、人が死ねば涙は出るし、幸せな姿を見れば嬉しいよ。でも、過程を丁寧に描かないと感動はしない。訓練が『ウォーターボーイズ」』並のワキアイアイだし。091122
しど

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







上手い物語は、「偶然」もきちんとした「必然」の上で起こるが、下手な物語は、重要な要素すら「偶然」に任せて、どんどん偶発させる。

この作品も彼女との出会い自体は「偶然」でいいのだけど、東京暮らしの彼女が親の看病で帰郷したり、友達が海保隊員の治療先病院に勤務するナースだったり、強引な「偶然」を重要な要素にしている。

後半のターニングポイントも、突然の事故。救難訓練を受けているはずの海保隊員があっけなく死んでしまうムチャ設定。みんな凄い真面目に葬儀に参列してるけど、死に方の「間抜けさ」に思い出すと、どうにも馬鹿馬鹿しい。

挙句に、終盤のもっとも重要なエピソードが、また「偶然の事故」。序盤から描かれる「40メートルの水深から助かる方法」が、「仲間の救援をただ待つだけ」という「偶然」に頼る選択肢ってのは、潮に流される映像の滑稽さとともに、大いに笑わせて貰った。

そして、たまたま助かったから良かったものの、失敗したら、さらに死者が出てた命令違反だったのに、これまた、偶然の思いつきに乗っかって、査問委員会までお目こぼし。

「説明セリフ」にしたって、どうにも浮いてる謎の食堂のお姉さんに教官の隠された事情をそのまんま語らせるし。

他にも雨の中でキャンプしてる設定やら、いろいろツッコミどころが満載で、失笑しまくり。

それでも、張りまくった伏線を、一つずつ全部回収していった良心は、思わせぶりなエピソードをばら撒いたまま放置した『踊る大捜査線』の何倍もマシか。その分、割合上質なテレビ的ドラマにはなってるんだけど、映画としてはどうにもならんレベル。

ところで、日本の成長系物語って、近年、どんどん努力部分が希薄になっていくな。結果が全てで過程がおざなりになってるから、表面的なストーリー展開になるんだろう。

(評価:★2)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。