[コメント] ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ(2009/日)
薄っぺらな男たちとけなげな女が繰りなす、滑稽で素朴な男女の仲。役者の配置が絶妙。20091201
太宰を主役とした作品ではないが、「太宰のモテぶりの秘密と真実」といった感じ。
主人公の作家浅野、その妻松、苦学生時代に若い頃の松を見捨て今は成功している弁護士の堤、家業が工場で時期社長の若い工員妻夫木。それぞれが、それぞれに、それっぽい役者が配置されていて、とっても馴染む。
浅野は演技が上手いのか下手なのかカッコいいのカッコ悪いのかよくわからないのにとっても魅力的な役者。堤は演技は上手く、決していい顔ではないのにとってもカッコいい、だけどどこか安っぽい役者。妻夫木はあくまで無垢感が売り。松は特別な特徴は無いけれど絶対的な安定感がある。ここに、伊武と室井の飲み屋夫婦、広末の女給が絡むのだから、役者の布陣だけですでに魅力的。
男三人の要素を簡略化すると、誠実だが生活破綻者、不誠実だが成功者、申し分の無い若者、だろうか。人間として魅力的に描かれるのが生活破綻者なのが困りモノ。そんな魅力の塊が心の隙間へ入り込まれてしまうと、どうにもならないのかもしれない。いたって、その瞬間は偶発的にタイミングバッチリだし。
心中の最中に「お前死ぬ気無いだろ!」なツッコミを入れたくなる浅野の行動とその言い訳がとくに印象深い。
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