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[コメント] メメント(2000/米)

ビックリ創作料理としての仕掛けを楽しむ映画かな。040306
しど

ドラマより仕掛けがメインなので評価しづらい作品だ。 主人公の男は事故以来、新しい記憶が数分で無くなってしまうが、 事故以前の記憶は残っている、という設定。 その男の設定を利用して、作品全体の構成も、時間軸を逆に、 数分ずつのシーンが描かれていく。 つまり、事件→事件の直前→事件の前兆→事件に至るきっかけ、 みたいな構成だ。 なので、見た後でビデオを一度巻き戻して、いくつか確認してみたりした。 そういう仕組みとしては、まあ、面白い試みだろうか。

記憶が残らないので、男は、様々な事象をポラロイド写真、メモの他、 忘れてはならないメモは入れ墨で体中に残す。 しかし、人間の記憶が曖昧なように、男のメモも曖昧であったり、 時には間違った内容を記憶として残したりする。 そして、その曖昧な記憶の残り方を利用した周りの人間によって、 この男の翻弄される姿が、この作品のメインストーリーになってくる。

私自身、記憶に関しては非常に曖昧で頼りない人間なので、 こうした記憶を巡る「間違い」に、 いろいろ考えさせられるところが多かった。

映画には、記憶に関する話が非常に多い。 もともと記憶自体が人間の生き方を左右するから、当然である。 『ブレードランナー』は記憶を求めるレプリカントの話だし、 『羊たちの沈黙』は、クラリスの隠された記憶がサブテーマとして意味を持つ。 記憶を扱った数々の作品群の中、記憶の作用のみを強調したこの作品、 料理に例えるなら、ビックリ創作料理、みたいなものだ。 料理の味わい(ドラマ性)はたいしたこともないが、 仕掛けにはそこそこ驚く、ってな感じ。 ドラマとして見てて退屈だが、シンプルな内容だけに、 見ながらいろいろ考えたりもできる。 仕掛けへの挑戦も評価して、☆三つってとこかな。

(評価:★3)

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