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[コメント] リンダ リンダ リンダ(2005/日)

時間が過ぎ去っていくということを現在形で感じるということ=青春。「そして誰もいなくなった」。

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「そして誰もいなくなった」とは、青春期の映画には似つかわしくないフレーズのようにも響くが、クライマックスのライブシーンで敢えて誰もいなくなった放課後の校舎の情景を切り取っていく感覚にそのようなフレーズを想起した。過ぎ去っていく時間を現在形で感じるということ、とでも言えばよいか。だがそれは決して現在する時間を予め調和的な過去形として捉らえるということではない。誰もいなくなった薄暗い校舎の周りには、けれど安易な郷愁の投影を拒むかのように存在を打ちつけてやまない激しい雨が地を叩き続けている。「そして誰もいなくなった」校舎の空ろな空間には、けれど「私は確かにそこにいた!」という感情が充ちている。それは過去形の形をして現在する時間なのかもしれない。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)DSCH[*] ぽんしゅう[*] 煽尼采[*]

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