原作未読。

重厚な医療もの人間ドラマの趣のある作品なのかと勝手に思っていたら、意外やくだけた調子も垣間見える作品だったりするが、それがいいことなのかどうなのかが判断しかねる。原作からしてこうなのか、それとも映画なりの演出なのか。映画なりの演出なのだとしたら、端的に言って、ほぼ明らかにあの『ＴＲＩＣＫ』とかぶってしまうように見える主人公二人のキャラクター造形は身もフタもなさ過ぎるんじゃないの？という気がしてしまう。

それと個人的に気になってしまうのはあのラストの真犯人。まるで取ってつけたような人格破綻者を出してオチをつけてしまうあたり、ちょっと安易ではないかという気がしてしまう。それが許されるなら、大体どのようなオチでも取ってつけられることになると思う。『サイコ』の頃のように、人格破綻者という存在自体に驚愕と戦慄を覚えた時代はとっくの昔に終わってしまっているし、あの映画とて取ってつけたようなオチとして人格破綻者を登場させたわけではなかった。ともかく、このようなオチのつけ方は、むしろ人格破綻者という存在が既に日常茶飯事になってしまったからこそつけられるオチであるように思える。人格破綻者には人格破綻者の人間ドラマもあるはずで、それが示唆的にでも語られないのであれば、その存在は話のオチをつける為の手管として引き出されたに過ぎないと見られても仕方ないだろうと思う。