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[コメント] ザ・コンテンダー(2000/米)

人間が寄り集まる場では必ず政治が発生する。大切なのは、何故アナタは(ワタシは)そこにいるのかということ。その場にいて、それをするのはつまり何の為なのか。そこに(政治)倫理の根源がある。

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







だが、そんな無私の理想を語っているかに見える言葉にもやはり政治は息衝いているのかもしれない。

「男=保守=共和党」vs「女=リベラル=民主党」といった対立構図のシナリオは、あまりにも「女」寄りに出来過ぎているように思えた(もとより「娘たち」への映画でもあったようだ)。それでいながら当の副大統領候補のヒロインはそれほど主体的に行動して状況を変えていくわけではない。「候補」という受け身な立場の所為もあるが、そもその候補として彼女にスポットが当たったのは彼女がまさに適当な地点に立つ「女」であるからで、更にそのスポットを当てたのはまぎれもなく男性であるということも無関係ではないだろう。彼女を副大統領候補として指名するのは勿論のこと男性の大統領、また彼女の夫は裏方として妻を懸命にサポートする。そして何よりも映画の「男=保守=共和党」vs「女=リベラル=民主党」という対立構図自体を描いた監督・脚本のロッド・ルーリーも男性だ(政治オタクらしい)。彼が記すところの「娘たち」へと向けられたこの映画は、けれどごくふつうに男性が描き出した映画だ。ヒロインは旧保守勢力の迫害の中で信念を貫き通してみせる理想のマスコットではあっても、それ以上の存在ではないようにも思えた。信念のヒロインが信念を貫いた挙げ句に疎外されるなら、それでこそやっと具体的な政治の現場にある問題は浮き彫りになるのではないか。

思いのほか役者達の顔が魅力的に見える映画ではあった。やたら食い物をパクつきたがる大統領は面白い。それほどカリスマ的には見えない、人間的な一政治家としての大統領。それと、名前は分からないのだが、FBIの若い女性は黒ブチ眼鏡がプリティ。(こういう視線は性差別的?)

ちなみに、映画の中の女性副大統領というと(まだ現実には誕生してないけど)、『エアフォース・ワン』のグレン・クローズが思い浮かぶ。あれは大統領の留守を守る女房役というカンジ。

(評価:★3)

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