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[コメント] デルフィーヌの場合(1999/仏)

頑なな純真。
tora

フレンチポップスによる軽快な導入は、この作品が実話に基づく単なる犯罪記録で ないことを表しているのか。そこにあるのは犯罪を辿る陰湿な空気ではなく、どこ にでもある普通の少女と家族の姿である。

モード・フォルジェ演ずるデルフィーヌの眼差しはどれも好奇心に満ちており、 オリビアが導く大人の世界に入り込んでいく様は、少女の純真を痛いほど感じて 余りある。ロランとの出会いは必然であり、そして少女は恋の虜となっていくの だ。彼への一途な想いは少女にすべてを捨てさせ、彼女は頑ななまでの純真で男 の愛を一心に勝ち取ろうとする。

事実を揶揄して「汚い青春」とするのは簡単である。だが、愛のために死を選ぶ などという話は吐いて捨てるほどあるが、こんなにも未熟で切なく、痛い青春は フィクションを並べてもそうはお目にかかれない。ロラン演ずるステヴナンの好 演も光り、よく描かれている佳作であると思う。

(評価:★3)

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