これでもか！の大迫力かつ繊細で恐ろしいパニック描写。監督の才能にプラスしてこんな金かけられたらもはや誰も太刀打ち出来ません。

それに加え本作は人間側の描き方が上手い。

逃げる（一般市民の）トムだけを追っていく展開のおかげで、自分も逃げる身に一体化して「次どうなるのか、自分ならどうするか」とドキドキしながら楽しむことが出来た。というか自分はトムの「近所の様子を見てくる」ってところだけで既に震災を思い出したりして入り込みまくった。

途中に寄った家のキッチンという小さな空間。そこでのひと時の安心が恐怖感の橋渡しをする。そしてさらに追われた地下室という空間で、２人から離れたところにいたダコタが恐怖におびえて駆け寄るシーン。同じ狭い空間にいるのにさらに自分のいる場所から逃げ、安心できる所へと一目散に向う。とにかく恐怖から逃げたいという気持ちと誰かに頼りたい、少しでもそばにいたいという気持ち、どちらもよく理解できるし、おかげで感情移入もしやすく自分も体験しているような気分になった。

そしてさらに小さくて暗い部屋に逃げ込んで一段落。この徐々に追われていく流れが、一緒に恐怖から逃げる気分を味わえたこの映画のクライマックスだったかな。

それ以降ももちろん面白かったけど、前半から比べるとややトーンダウン。ティム・ロビンスのキャラから解決まではちょっとベタすぎと思ったし、まったく無傷の奥さんらに迎えられたのはちょっとムカついた。

★４．５