[コメント] キサラギ(2007/日)
すべてがきっちり収まる合理的なプロットだが、それゆえに出来合いのジグソーパズルを完成させる過程を見させられているだけのような、予定調和的な薄っぺらさを感じざるを得ない。そこには現実の不条理や狂気、混沌、悲劇といった深みが欠けている。
と言うと、「幻想を求めて映画を見てるんだ、そこに現実の不条理は必要ない」と思われるかもしれないが、映画における幻想が快いのは、そこに現実と変わらない不条理な世界があり、その困難が乗り越えられるからこそだろう。
この映画では、アイドルの死ですら、プロットを組み立てる際の統制的理念(着地点)として利用されてるにすぎず、そこに悲劇の残滓は皆無である。登場人物たちの悲しみも、物語のための単なる身振り以上には感じられない。
この映画は、伏線をばらまき、それを回収するためだけの映画にすら見える。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (2 人) | [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。