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[コメント] 未来を写した子どもたち(2004/米)

「土人の売春街に子供たちがいる。よし、私たち優れた西洋人が救ってやらねば」。

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







といいつつ、買っているのは白人なんだろ?

インド人は怒ったほうが良い。西洋人なんかに言われるまでもなく、自分たちで改革すべき。

「家族と一緒に自由に、しかし危険な売春街で短く生きること」と、「お金持ちになって安全な場所で、しかし家族と離れて働き続けて長く生きること」。どっちが素晴らしい人生かなんて他人が決めることではない。

もちろん、選択可能である状況が最良であるに違いないが、選択可能性を与えることができるのは、国政のレベルであり、それは長い時間と多くの人々の力が必要である。

本作で紹介されるカメラマンの女性ザナによる活動は、そのようなものではない。一部の子供たちを洗脳し、「彼女が」素晴らしいと信じる人生を子供たちに歩ませようとしているにすぎない。このことは何の解決にもならないただの自己満足である(解決に繋がる自慰行為ならまだましだが)。政治とは異なり、ザナの行為はひとり(+協力者)でやっていることだから、その結果はすべて自分の力によるものであると実感できる。また、学校に入れるだけだから、結果もすぐにでる。自分を満足させるためには、こういった上っ面の慈善活動が最適なのである。

そして、その結果は散々なものである。ほとんどが学校を辞めて売春街に戻っている。にも関わらず、その点についてはラストの字幕で報告するだけである。つまり、この映画は、「未開の地で土人を啓蒙しようとがんばる私を見て!」なのである。

インドはカーストがあったし、宗教的に性がタブーというわけでもないだろうし、西洋とは根本的に違うんだから、部外者が自己満足のために中途半端に手を出すもんじゃない。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)青山実花[*]

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