[コメント] ディア・ハンター(1978/米)
あまりに主観的で、でもだからこそ心に響く作品。
主観的。
良く言うと、素直。
悪く言うと、独りよがり。
アメリカの平凡な若者の主観そのものが、この映画です。
だから、アメリカ嫌いな日本人の私たちには、あまりに独善的で 被害者ぶった映画に見えます。「お前らが起こした戦争じゃろが。 ナニ、被害者ヅラしとんじゃ!?」って。
でも、ああして傷つき、ボロボロになった若者がいるのは事実です。 アメリカ人だろうとなかろうと、関係ない。平凡な若者たちの心が、 戦争によって破壊されて行く。ベトナム戦争だろうが、太平洋戦争だ ろうが、関係ない。人間が人間を傷つけていく、普遍的な悲劇の形態 がここにあります。
「アメリカは加害者だ」という正論を振りかざして、この映画の主人 公たちの痛みや悲しみを思いやれない人は、あまりに冷淡だと、私は 思います。誰に責任があるのか、誰が悪いのかを問いかけるのではな く、傷つき奪われた人たちの悲しみを思いやることの方がずっと大切 では?
客観的で、自己反省にあふれ、反戦メッセージてんこ盛りのベトナム 映画だけが受け入れられるような社会は、やはりいびつでしょう。批 判を怖れず、素直に、感じたままを表現した映画に、私は自分の主義 主張に関わらず、胸を打たれるのです。
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