[コメント] お葬式(1984/日)
撮り方、とくにその突き放し方、が好き。たしか、浅井慎平が撮ったんだっけ、8ミリの部分って。
まだ幼かった私だったが、伊丹十三は、最高のエッセイストのひとりだと思っていた。その評価は今でも変わらない。
彼の初監督作品である本作には、彼がそれまでのエッセイ集で好んで書いてきたものが、混ぜ込んである。料理で言うと、隠し味であり、スパイスだ。
吟味された素材はもちろんのこと、くどくなく、しかしきちんと味が際立つような、微妙な塩加減と砂糖加減で調理された本作は、きわめてシンプルかつ奥深い味わいを持っていると思う。
もしも映像に「肌触り」あるいは「舌触り」のようなものがあるとすれば、さらっとしていながらも、しっとりと、そしてごわごわと、洗いざらしてなじんだデニム、ちくちくしてなおかつシルキー、すっぱくて苦くてほのかに甘く、さっぱりしててこくがある、そんな作品だと思う。
非常に論理的・皮肉屋に見えて実は、感覚的でロマンティックなところをこっそりと隠し持ってるってことだ。
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