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[コメント] ヘヴン(2002/米=英=仏=伊=独)

築五百年の重みに耐えかねて
ボイス母

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







本編ではカットされた(映像特典に入っていた)腕時計のエピソードでそこに確信を得た。 カジュアルなアウトドア風の腕時計から、父から譲られた金時計へ。 父子代々の国家へのご奉公。その時間と先祖の重みが刻まれたいかめしい制服。石造りの家。 そう言えば、イタリア在の友人が住んでいるアパートは築六百年だったな。 そんな歴史の重みへの個人の抵抗映画と感じた。

そんなオネショ小僧が、「終わりの時を待つしか出来ない」女性と恋に落ちるのは運命か。 はたまた、彼は天国から遣わされた、彼女の生を最後に花開かせるための、春の訪れを告げる西風か。

暗黒の冬のような心持ちの主人公が一転、光に包まれて眠る屋根裏(時計部屋?)での目覚めの、春の息吹のようなシーン。 暖かな風に吹かれて、彼女の人生は再び花開いてゆく。女性として生きる事がまだ出きるという事を知る。

神の存在はその目線以外感じられない映画だったが、破滅的な女性が、人生の最後に愛を取り戻すまでの絶望的なメロドラマとしては、そのお役目を果たしている気がした。 大甘の☆=4

(評価:★4)

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