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[コメント] スイミング・プール(2003/仏=英)

女優を「美しき怪物」と表現するのは周知の通りであるが、その女優がさらに小説家を演じるとなればその「怪物度」が増すのは当然といえば当然だが。オゾンの女性への洞察力の凄さに恐れ入る。
ボイス母

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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多分、「年上専門」ですね、この監督。 でなければ、監督のこの若さでの初老女性の脳内への考察、推理は成り立たない気がする。

人生の辛酸もなめ尽くし、男への欲望もちゃんと(まだ)持ってて、脳内で常に何かを動かして検証&吟味しているような女性の「怪物ぶり」 そもそも「演じる」という事は「書く」という行為に似ているのかも知れない。

その話しが転がり始め、なんだか「二時間ミステリー風仕立て」になった瞬間に、「あ、これは彼女の創作の世界なんだ」と気づく仕掛け。 なんとも安っぽいミステリー調の仕掛けで、「なるほど、コレが彼女がそれまでに書き続けてきた犯罪小説なのね!」と理解できる。 このアタリも巧いぞ、超絶技巧だオゾン!!

初老女性の心の綾と、その創作現場での心理描写の素晴らしさに度肝を抜かれた。 彼女を腑分けし、観客に提示して見せるこの手つきの鮮やかな事よ、オゾン監督。 「いやあ、女性って怖いですねえ」

彼女の復讐は、「出版社の社長を貶めて、彼女の娘さえも脳内でねつ造し、全くの別物に作り替えて現実を再構築し、しかもその本を別の会社から出版する」という念の入れようだ。

いやあ、「女」ってだけでも怖いのに、それが更に年を経て年月によって磨きをかけられたらなおの事、オッソロシイですね。 こんなバアサンになりたいものです(妄想)

(評価:★4)

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