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[コメント] 噂の女(1954/日)

東洋のヘップバーン、遊廓に現る。恋愛不在の日本の男共に天誅を。
ボイス母

「身も心も相手に捧げ尽くす真の恋愛」というものが存在しない、「金で女を買う事によって、恋愛のまね事しかできない」日本の男に鉄槌を下す溝口監督。

「どうせ、男の心に誠なんてありゃしない。あるのは肉欲だけです。女を利用し搾取する社会だけです。どうせこんな社会なんだったらせいぜい金を絞り取って男達に復讐しましょうよ」 と甘く囁く「女の心の隅々を知る男」溝口健二。

田中絹代の素晴らしい事! 今まで演技派とは感じた事がナカッタ(<失礼千万)のが申し訳ない。 この映画での絹代ちゃんは名演中の名演。

誰かにこの身を捧げずにはいられない、身も心も恋に捧げ尽くしたいと願う愚かな女の恋心を見事に演じ切っています。 その演技力にひたすら感服。

しかもこの立ち姿も素晴らしい>絹代ちゃん。 まるで春信の浮世絵の美女のようだ(胴長寸胴で手足がきゃしゃな殆ど、前衛的といってもカマワナイタイプの美女)

一方、この久我美子の「和製ヘプバーン」的ずば抜けてのあかぬけ具合。ヨーロッパの香りが素晴らしい。 まるで少年のような清々しさ。清潔さ。

旧日本の美(絹代ちゃん)と新日本の美(久我美子)の美がせめぎ合い、ぶつかり合い、火花を散らす、まさに名作!!

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (6 人)寒山拾得 水那岐[*] きわ[*] ぽんしゅう[*] TOMIMORI[*] 直人[*]

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