『蝿男の恐怖』がトラウマものの名作だったのに対し、本作は至って普通の怪物ホラー映画になってしまっていた。一応、主人公は前作のラストで登場した息子で、事件を全て知っている叔父もきちんと登場するし、人間頭のハエを見た警部さんや、最初にアンドレーの死体を発見した使用人まで出すというのはいい。最初１０分ぐらいは、なかなか面白いと思っていたのだが……話が進むにつれ、どんどん前回からずれていく展開は観ていてガックリ。

　とりわけ、体人間手足がモルモットというのが出てきた時点で「ああ、これはもう前作の物質転送のプロットだけいただいたような映画なんだ」と思ってしまったらアウト。本来ならそういうのを避けて通るべきはずなんだが、なぜこうなったのだろうか。肝心の蝿男も一度変身してからは出ずっぱりで、恐怖感もへったくれも無いのが困る。しかもラストは、前作のオチからは想像も付かないようなハッピーエンド。いいのかなぁ、これで。これじゃ親父のアンドレーが浮かばれないぞ。

　★３か★２か迷ったが、前作からの落差ゆえのガッカリ感を考えて、評価は低めに。