コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス(1999/米)

新たに始まった本家の一発目がこんな腑抜けじゃ困るんですよ。『宇宙からのメッセージ』の大ファンだからこそ、思うことが多々ある→
荒馬大介

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 過去の栄光に泥を塗る、というのはこういうことを指すのではないか?

 まず、筋に絡む登場人物をいろいろ出しながらも、何一つ生かされていない脚本にガッカリ。アナキンが機械に詳しい天才少年で、彼のおかげで勝ったというのは許せるとしても、クライマックスの盛り上がり方が今一つだと感じた。何というか、分散しすぎているのだ。

 「エピソード1」の佳境はこの3つに分けられる。1:「宇宙での空中戦」、2:「先住民族対機械化軍隊」、3:「善のフォースvs暗黒のフォースの宿命対決」。……この展開はまんま『スター・ウォーズ ジェダイの復讐』。前3部作の結末と同じことを初っ端からやってしまっているのは、実は物凄く危険ではないかと思う。ルーク、レイア、ソロ、そしてベイダーと全てのキャラが立っている上での最終決戦ならば、これだけのことを平行させてやっても、最後なので派手になることは必至であるし、「どう決着を付けるのか?」ということで緊張感も持続出来る。で、『ジェダイの復讐』の結末がどうなったかは言わずもがなである。

 しかし、キャラがまだ立ち切れてない状態で、かつ3部作あると分かっているうちの最初で同じことをやっても、そんなに盛り上がるとは思えない。クワイ・ガンがあっさり死ぬのも頂けないし、おかげでオビ・ワンの「ノー!!」という叫びも空回りしている感があるのだ。戦ってるのは同盟国でも帝国軍でもないし、過去からの因縁がある訳でもない(あったとしても、多分歴史は古くない)。侵略者を追っ払っただけだよ、これ。ダース・モールとの対決も、これではおまけ同然。

 考えてみればこのクライマックスの3段構成は、私が愛してやまない『宇宙からのメッセージ』と同じなのである。嘘だと思ったら確認して頂きたい。実際に「空中戦」「先住民族vs(ガバナス)帝国軍」「宿命の対決がチャンバラ」という具合で作ってあるのが分かるはずだ。勢いに任せて作った深作欣二のパワー溢れる便乗映画が作られてからはや21年、ルーカス演出はそれ以下に落ちていた。エピソード5か6のように、誰か別の人に任せても良かったのでは無いかとすら思う。

 あと不満があるとすれば、そのクライマックスも含めていろいろぶち込みすぎるということ。ポッドレースで最後ライバル同士の2機がぶつかり合うのは『ベン・ハー』だし、山の稜線から敵軍隊がぞろぞろやって来るのは『スパルタカス』。エピソード4のモズ・アイズリー宇宙港が西部劇なら、今回はローマ帝国。おいおい、何世紀分戻したんだ? 実際のタイムスケールならエピソード4まで4、50年位だと思うが、たったそれだけでああも殺伐となるものなのか。帝国軍恐るべしである。

「現代の映像技術なら『エピソード1』を映像化出来ると思った」だなんて、逃げですよ、逃げ。自分の力量だけでは足りない部分を技術力でカバー出来ると思ったからじゃないの? と疑われてもしょうがないような印象すら受けた。ルーカスの手によって「新たなる希望」のような衝撃が再び訪れることは、今後一切無さそうである。

 復活したこと自体は嬉しいので、お情けで★2。

(評価:★2)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)ペンクロフ[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。